キャリアアップ紹介キャリアアップ紹介

特定技能外国人の
キャリアアップについて

特定技能外国人を受け入れている企業が
それぞれどのようにキャリアアッププランを
形成しているのか、ご紹介します。

特定技能2号制度のスタートによって、これまで以上に長く外国人材が働くことができる環境が広がりつつあります。特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際、キャリアアップの計画を書面で示すことも義務化され、受入れ事業者には、外国人材の長期的なキャリア形成をサポートすることが求められています。
しかし、外国人材の能力向上を具体的にどのように進めていけばいいのか、頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。

昨年開催された受入れ事業者のセミナーでアンケートを行ったところ、特定技能2号の受入れを検討している参加企業のうち、35%が「社内の受入体制・環境」、44%が日本語、難度の高い作業、工程管理やマネジメントなどの教育に力を入れる必要があると考えていることが分かりました。

特定技能2号についての事業者アンケート

では、受入れ事業者ではそれぞれどのようにキャリアアップに取り組んでいるのでしょうか。これまで事例紹介で取り上げた受入れ事業者の例をご紹介します。

飲食料品製造業

株式会社ヤマヲ

  • 事業内容: 麺類(調理麺・スナック麺等)の製造
  • 従業員数: 社員54名、パート424名、派遣200名 ※社員は契約社員も含む
  • 1号特定技能外国人受入れ数: 211名(内訳:ベトナム184名、ミャンマー26名、カンボジア1名)
  • 2号特定技能外国人受入れ数: 9名(内訳:ベトナム9名) ※その他合格者は20名(申請中を含む)

※2024年12月時点

社内資格試験でスキルを高めて管理者に登用

特定技能外国人のみなさんは、まず製造工程を担当し、その後、衛生管理、数量管理、指導教育などを担う管理者(副班長、班長、リーダー)にステップアップしています。管理者に登用する際は、リーダーシップなどの適性を見極めた上でHACCPなどの知識を問う社内試験を行い、必要なスキルを身につけてもらいます。

特定技能2号の受験希望者には社内面接やテキスト配布

また、当社の外国人材は特定技能2号への意欲が高く、試験の受験を希望する人には事前に社内で面接を行い、日本語能力、衛生知識、業務への姿勢などを評価しています。さらに受験勉強用のテキストを配布し、質問があれば個別に対応して合格をサポートしています。

管理者教育はまず意識改革から

当社では今、日中、夕方、夜間の各セクションでマネジメントを任せられる人材を目標に、管理者の育成に注力しています。管理者に求めるのは、業務の知識だけでなく、一緒に働く人をまとめ、ルール違反があれば注意し、問題を互いに指摘し合える環境をつくる意識です。特に特定技能2号を目指している外国人材には、そうした意識を持つよう、折に触れて指導をしています。

飲食料品製造業

米屋株式会社

  • 事業内容: 菓子(ようかん、和洋菓子等)の製造・販売、流通事業
  • 従業員数: 668名
  • 1号特定技能外国人受入れ数: 32名
  • 2号特定技能外国人受入れ数: 1名

※2024年12月時点

ライン長や係長をめざし階層別研修への参加も検討

特定技能外国人のキャリア形成において、現在重視しているのは、マネジメント能力日本語能力の向上です。まずは現場のライン長、係長クラスの管理職を目標とし、その教育のために、日本語能力や業務の理解度を見て、従来からキャリアアップのために行っている階層別研修を受講してもらうことを検討しています。

和菓子職人として育てる新制度

さらに、菓子製造を事業の柱とする当社では、外国人材のキャリアアップの取り組みの一つとして、上生菓子を作る和菓子職人の育成制度をスタートさせました。初年度は2名が選抜され、製造工程で働きながら、定期的に和菓子職人になるためのトレーニングを受けています。短期的には技能検定和菓子2級合格を目指し、将来的には世界に日本の食文化を伝える人材としての活躍を期待しています。

日本語検定を含む資格取得に手当を支給

菓子の検定や日本語能力検定は技能手当の対象としており、合格者には資格手当を支給しています。頑張りが給与に反映されるため、特定技能のみなさんがキャリアアップを目指すモチベーションになっているようです。

外食業

株式会社たかまさ

  • 事業内容: 飲食業
  • 従業員数: 15名
  • 1号特定技能外国人受入れ数: 1名(内訳:バングラデシュ1名)
  • 2号特定技能外国人受入れ数: 1名(内訳:バングラデシュ1名)

※2025年1月時点

調理とインバウンド客対応の二刀流

特定技能外国人を2名雇用し、そのうち2号特定技能外国人として働いている1名は、揚げ物の仕込みや調理のほか、海外接客責任者としてインバウンドのお客様への対応でも活躍しています。

きめ細かな接客で海外からの口コミで高評価

英語メニューの作成だけでなく、ローカルフードの紹介、ベジタリアンやムスリムの方への料理の提案などにもきめ細かく対応し、日本人はもちろん海外のお客様からの評価も高く、口コミサイトには海外からたくさんの好意的な書き込みをいただいています。

ベテラン社員の技術の継承に期待

調理では、魚をさばく板場のサポートや盛り付けから、揚げ物担当にステップアップしました。調理は標準化できないオペレーションもあり、技術の習得には時間が掛かりますが、ベテランの日本人社員に学びながら技術を受け継ぎ、将来は一人で魚をさばいて刺身を提供できるスキルを身につけてくれることを期待しています。また、海外からのお客様の増加を踏まえ、ほかの従業員にインバウンドの接客をトレーニングしてもらうことも考えています。

外食業

株式会社資さん

  • 事業内容: 飲食業
  • 従業員数: 約3,500名
  • 特定技能外国人受入れ数: 117名(内訳:ベトナム40名、インドネシア44名、ミャンマー33名)
    ※2024年度外食業分野特定技能2号技能測定試験 合格7名

※2025年2月末時点

キッチン、ホール業務から副店長にステップアップ

特定技能外国人は、主にキッチンやホールの基本業務、在庫管理などの管理業務を担い、まずは副店長へのキャリアアップを目指して仕事に取り組んでもらっています。

教材は母国語、試験は日本語

副店長になるには昇級試験があり、試験勉強のための教材として、日本語のテキストをそれぞれの母国語に翻訳したものを配布しています。試験自体は日本語で実施するので、以前は日本語の教材を配布していたのですが、母国語で学ぶ方がより内容を深く理解できるため、合格率が上昇しました。現在では特定技能2号の試験にも社内で翻訳した教材を用意し、受験希望者に提供しています。

店長勉強会で地域や会社全体を考える視点を養う

副店長になった後は、店長勉強会への参加を通じて店舗運営により深く関わるスキルが身につく体制を整えています。具体的には、目の前の仕事から視野をさらに広げ、自分の店舗が地域の中でどのような存在でありたいのか、会社がより成長するためには何が必要かといった視点を持ち、近い未来を想像しながら店舗を運営する力を高めていきます。今後、国内店舗の店長はもちろん、当社が海外展開した際には現地の店長になってもらうことも含め、長く活躍してもらうことを期待しています。

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