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【マレーシアコラムVol.6(最終回)】イスラムインディアン ままっくストア!

国内外の独自のパートナーシップの構築により、日本企業のグローバルビジネスをJTBグループがお手伝いするラピタでは、各地域の専門家の方々とのネットワークにて海外展開をサポートしております。
今回は、DNA Two Ventures代表の佐藤実左世氏によるコラムの第6弾(最終回)をお届けします。


皆さん、こんにちは!
佐藤実左世です。


今までになく、マレーシアが世界中から注目を集める事件が起きてしまいました。その後の両国のやりとりは、日本でも連日報道されていますので、詳しい方も多いのではないでしょうか。


ちなみに私、事件の翌日、まさにその現場のKLIA2空港着でマレーシア入りしました。といっても、到着ロビーには報道陣の姿もなく、入国管理のおばさんも、税関のおじさんもいつも通りののんびりした様子。
友人からメッセージで情報をもらうまで、まさかここが事件の現場とは......とビックリしたくらいです。
何はともあれ、日本もさんざん翻弄されてきた国です。政治的な話よりも、大らかなマレーシアがどう対処するのか、今後の行方が気になります。


さて、その日は、空港からそのまま仕事に向かい、慌ただしい1日を過ごしましたが、翌朝は少しゆっくり起き、家のそばにある食堂まで歩いて朝食を食べに行きました。
食堂といっても、四方がオープンスペースで、屋台といったほうがいいかもしれません。店員はインド系のムスリムたちで、マレー系の人たちよりも褐色系の肌に、彫りの深い顔が特徴的です。
この食堂、マレーシアでは「ママック・ストール」というのですが、ご存じでしょうか?


英語では、Mamak Stall。
Mamak(ママック)とは、もともとタミル語で「おじさん」という意味の言葉ですが、マレーシアやシンガポールでは、インド系のムスリムの人たちを指します。そして、Stall(ストール)は英語で露店や屋台のこと。
つまり、「インド系ムスリムの人たちがやっている屋台」という意味です。


ママック・ストールは、マレーシアの市内、郊外、いたるところに必ずあります。
ナンに似たパンケーキをカレーのソースで食べるロティ・チャナイや、マレー風焼き飯のナシゴレン、マレー風焼きそばのミーゴレンなど、マレーシアの定番料理が一通りそろっていて、しかもおいしく、リーズナブル。
料理のほかにも、甘いミルクティーのテータレや、こちらも砂糖入りのコーヒー、コピのほか、缶ジュースもいろんな種類がおいてあります。


もちろん、ムスリムの人たちがやっているお店なので、食べ物はすべてハラールのみ。
店内にはたいてい大きな液晶テレビが置いてあり、サッカーの試合や、ドラマが流れています。常に人でにぎわっていて、開放的なオープンスペース。まるで、日本の屋台や赤ちょうちんの店を思わせる雰囲気です。
そのため、呑兵衛の知人たちをママック・ストールに連れてくると「これでビールが飲めれば......」とこぼすのもよくわかります。
もちろんおいていません(笑)。

マレーシアのムスリムたちにはアルコールなどいりません。
「どう? みんなで一杯、テータレでもいこう!!」
といった感じで、夕方になるとわらわらと人が集まってきます。


ママック・ストールにはWi-Fiの設備を用意している店も多く、しかも24時間営業なので、スマホの通信料を気にする若者たちのたまり場にもなっています。
まるでガード下の赤ちょうちんと、深夜のファミレスを足して2で割り、アルコールと不良を完全カットしたよう。お酒無しににぎわう不思議な空間になっているのです。


ちなみに、私、この記事を書くまで、「ママック・ストア(Mamak Store)」だと思い込んでいました。店内では、ガムやキャンディーなどのお菓子のほか、新聞まで売っていたりするので、そう聞こえていたのです。
30年近くたって初めて知る真実でした。


MalaysiaColumnVol6.pngさて、私がおもしろいと思ったママック・ストールの料理を1つ紹介しましょう。それは、バナナ・リーフ・ライスといいます。
文字どおり、バナナの葉をお皿代わりにして、ごはんやカレー、チキン、フィッシュなど、自分の好きな料理を選んでのせていくスタイルの料理です。
自分の席についたら、スプーンとフォークではなく、右手で食べるのが本場の食べ方。
さらに、食べ終わったら、バナナの葉の折り方で、料理の良し悪しを伝えるというから驚きです。おいしかったら、葉を自分側に半分に折り、気に入らなかったら、向こう側に折るそうです。
機会があったら、ぜひお試しくださいね。


宵っ張りのマレーシア人は、夜が更けてもママック・ストールで語り合っています。ムスリムがやっているお店ですが、ここでは、人種も宗教も関係なく、中華系の人たちも一緒になって話をしています。

マレーシア人の友人に「お酒無しでよく話せるよね〜」なんて言ってみたら、「ミサヨ、何を言っているの。お酒なんか飲んで、よく人と話せるね!」と返されたのには、互い笑ってしまいました。

文化は違えど、人と夢中で話をしていると時間を忘れてしまうのは、日本でもマレーシアでも同じようです。



最後回までお付き合いいただきありがとうございました。

また、日本とマレーシアでお会いしましょう!
佐藤実左世でした。


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プロフィール:佐藤 実左世(Misayo Sato Athanasius)


DNA Two VenturesSdn. Bhd.
(ディーエヌエー・トゥー・ヴェンチャーズ株式有限責任会社)代表者
Serunai Commerce Sdn. Bdn. Japan's Market Consultant 

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