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【マレーシアコラムVol.1】マレームスリムが訪日旅行へインスタントラーメンを持参する理由とは?

 皆さん、こんにちは。
 今回から「マレーシアコラム」を担当させていただくことになりました、佐藤実左世です。どうぞよろしくお願いします。
 
 私は1989(平成元)年、英語もままならないまま日本を飛び出し、日本の小売業者の海外バイヤーとして、東南アジアを担当。そこで出会ったマレーシアとの縁をきっかけに、今までマレーシアと日本とをつなぐビジネスをしてきました。

 マレーシアは東南アジアでも屈指の多民族国家です。たくさんの民族がいれば、その分だけ、文化も言葉も宗教も多様です。私たち日本人は「これからの時代は英語が話せなければ」云々いっていますが、マレーシアの人たちにとっては、2つ以上の言葉を話すのは当たり前。マレー語、英語、広東語、北京語、タミル語などなど、その場にいる人によって言葉をクルクル変えながら話しています。

 それは、人口の約7割がマレー系、2割が中華系、残りの1割がインド系という民族構成であること。そして、イスラム教が国教ではあるけれど、基本的に信仰の自由が認められ、多様な人たちが暮らしているためだと思います。ちなみに、私の夫もマレーシア人で、ボルネオ島にあるサバ州の出身です。
さて、自己紹介はこの辺にしまして、今回の本題に行きましょう。

 マレーシアのムスリム、いわゆるイスラム教徒にとって、「日本はどんな国なのか?」というお話です。

 今、日本は〝爆買い〟で知られるように、中国人をはじめ、海外から訪れる外国人のインバウンド効果で盛り上がっています。
 日本にきた外国人が食べる和食といえば、なんといっても寿司です。寿司、刺身といった生魚に衝撃を受けると、次はラーメン、お好み焼き、ジンギスカンなど、彼らはいろんな日本の食べ物に興味を示します。外国人が日本食に触れ、気に入ってくれる、いい話ですよね。ところが、マレーシア人でそれができるのは、全員ではないのです。
 
 どういうことだと思います?

 マレーシアの人口の6割を占めるマレー系は、ほとんどがムスリム、つまりイスラム教徒です。イスラム教が、豚を食べることを禁じているのは有名ですが、厳格なムスリムになると、食べ物への気の使い方が半端ではありません。当然のように、「豚」という漢字も覚え、打ち合わせや、得意先との会食などで不用意に食べることのないよう、最大限の気を遣っています。

 ある日、政府系の仕事に就いているムスリムの友人が、「日本に行くときは、必ずマレーシアのインスタントラーメンを持参して、ホテルでそれを夕飯にしているんだ」と言ったのには、さすがに驚きました。「えっ、豚がダメっいうのはわかるけれど、寿司は魚でしょ!そばだってあるじゃん!」そう反論した私に、彼はこう言いました。

 「ハラールな食べ物かどうか、確かめようがないじゃないか!」

 〝ハラール(Halal)〟とは、アラビア語で「許された」という意味。
 つまり、イスラム教として許された食べ物かどうかを指す言葉でもあるんです。ハラールかどうかの線引きは非常に厳格で、例えば、マレーシアで一般的な日系のスーパーの食品売り場に行ってみると、マレー系の人たちが買い物をする〝ハラール〟のエリアと、〝ノン・ハラール〟のエリアは、これでもかー!!という位、はっきりと分かれています。ノン・ハラールのエリアには、豚肉や、アルコールのほか、ハラールと言い切れない食材がおいてあり、ノン・ハラールのエリアは、ムスリムの人たちは買えない(買わない)という空気で満ちています。

 ハラールのエリアに置いてある商品は、食品に限らず、化粧品や衣料品など、肌に触れるものが含まれています。商品には、ハラールであることを示す〝ハラールマーク〟が貼ってあり、それがお墨付きになっているのです。

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 ちなみに、マレーシアでハラールマークの認証を行なっているのはJAKIM(ジャキム)という政府の機関なので、とても信用力があります。そのため、ムスリムだけでなく、マレーシアの中華系やインド系の人たちにとっても、ハラールマークのついた商品は「優良なもの」という認識でいます。

 日本でもハラールについての情報が広まってきています。さまざまな認証機関ができているようですが、前述の敬虔なムスリムたちに言わせると、日本のレストランやスーパーは、まだグレーなようです。

 和食には、料理酒のほかにも、醤油や味噌などは、製造段階でアルコールが発生(もしくは、品質管理のためにアルコールを添加)するので、その点も難しいのかもしれません。

 一例ではありますが、そこまで厳格でないムスリムの友人は、私と一緒に日本の店で食事をしています。別のお客さんが隣でお酒を飲んでいても、「まあ、ここは日本だし、仕方がないか......」という感じで、落ち着いています。
 しかも、マレーシア人は、焼き鳥が大好き。マレーシアには「サテー」といって、日本の焼き鳥とそっくりな串料理があるんです。醤油のタレの代わりに、ピーナツのタレで食べるのですが、日本だと、焼き鳥のほかに、焼きとんもあったりするので、彼らも警戒していて「コレ、ブタナイカ?」と聞いてきます。
判断はムスリム個人によっても様々です。

 さて、日本のお土産にも注意が必要です。私たちが持っていったり、帰り際に渡したりするお土産もそうです。基本的には食べ物は選ばないほうが無難でしょう。なぜなら、いろんな食品に豚エキスやお酒などが使われているからです。おせんべいなら大丈夫だろうと思って、成分表を見たら思いっきり書いてあったこともありました。彼らがお土産を買って帰る場合も、厳しくチェックしています。

 彼ら曰く、迷ったらキーホルダーが一番安心とのことです。

 ということで、マレーシアのムスリムたちを通して見た、日本と〝ハラール〟についてのお話でした。では、また次回!


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プロフィール:佐藤 実左世(Misayo Sato Athanasius)

DNA Two VenturesSdn. Bhd.
(ディーエヌエー・トゥー・ヴェンチャーズ株式有限責任会社)代表者
Serunai Commerce Sdn. Bdn. Japan's Market Consultant 

学校卒業と同時に大手化粧品企業へ入社。海外事業部を経て大手小売業へ転職。東南アジアのトップとしてマネージメントを担当。退社後に起業しマレーシアと日本とをつなぐ、貿易卸、ビジネスマッチングなどを行なう。

HDC (マレーシアハラール産業開発公社)が主導するGlobal Halal Data PoolはSerunai によって開発されており、Serunaiにて日本マーケット担当として活躍中。

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