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【JTB海外駐在員コラム】北京編 ~ 中国(北京)で感じたこと ~

JTBグループが国内外の独自のパートナーシップの構築により日本企業の海外進出をサポートするラピタでは、JTBの海外支店とのネットワークを活用し、海外進出をサポートいたします。海外に駐在するJTBの若手社員によるコラムをご提供します。今回は、中国(北京)から駐在員コラムをお届けします。

1.環境

北京での環境汚染問題は周知の事実ですが、今年開催された世界陸上のテレビ中継を見て青空を見た方も多かったのではないでしょうか。「国は天気まで変えられる」と言った友人がいました。北京では8月22日~30日に世界陸上、9月3日に日戦争勝利記念日が開催されるなど大規模な行事が続きました。同行事開催に合わせて車のナンバー規制や工場の稼働停止命令が出されると、いつもの北京の空気が一変しました。連日のように青空が広がり市民はみな喜びました。しかし行事が終わるとまたいつもの北京の空に戻りました。環境汚染問題はまだまだ深刻です。最近は数年前のような連日非常に空気の悪い状況が続く状態からは脱しましたが、それでも空気の悪い日は町全体が霧がかかったような景色になります。月に何度かある空気の良い日がずっと続いてほしいと北京市民はいつも願っています。

2.インフラ状況

地下鉄の整備が進み路線も増え続ける昨今ですが、それでも交通渋滞が緩和されることはありません。北京の道路は早朝深夜を除き、どの時間帯でも渋滞があちらこちらで発生しています。渋滞の緩和や環境面の配慮から北京におけるナンバープレート走行規制措置は、2008年にスタートし、曜日ごとにナンバープレート末尾によって車両の使用が停止されることとなりました。それ以降、1年間を期限とする実施期間が何度も延長され、現在も続いています。

3.商習慣

(1)
北京では企業間の契約などで、ものの内容や値段だけでなく人脈が最重要視されるケースが非常に多い市場でした。しかし、近年日系企業は人脈営業だけでなく、内容や料金を重視し、自分たちにとって本当に良いものを選択するようになってきています。ある企業でのプレゼンの際、その企業は担当者間の人脈営業を防ぐため、検討者10名のうち半数を抽選で決めるという方式を今年から採用しました。この方式は中国では画期的な事であり、企業がコンプライアンス面を本当の意味で意識し始めたと感じる事例でした。

(2)
マクドナルドは北京市内にも店舗が多く、市民にとって珍しいものではありません。しかし今年、亮馬橋付近にオープンした店舗では異様な光景が見られました。オープン初日に大行列ができ、昼食の時間帯は1時間以上待つような事態になっていました。その理由が、一つハンバーガーを買うともう一つがサービスでもらえるという特典によるものでした。ハンバーガーの値段は企業で働く人たちにとって高いわけでもなく、珍しいものでもありません。しかし「特典」に興味を持ち、昼食休憩の時間を使ってまで、人々は行列を作っていました。中国人にとって「特典」というものは大きな意味を持ち、それは金額の大小に限らないという事を実感した風景でした。

4.口コミの影響力

地下鉄では日本同様に異様な光景が見られます。ほぼ全員の乗客が携帯電話を操作し、メールを送ったり、動画を見ています。彼らはいつも中国最大のSNS「Weibo(微博)」に夢中です。そこでは友人とメールをやり取りするだけでなく、トレンドや自分の近況を投稿したりするモーメンツ機能も多く使われます。ネット環境が十分でない中国においてWeiboはビジネスの場でも使われ、多くの人々の目に触れる場所でもあります。ここで良い評判が広まれば、飲食店には多くの人が並び、店舗では商品があっという間に売り切れになったりもします。初めは一人の感想が口コミで広がり、誰かがWeiboに投稿し、その評判が人から人へ広がり、ヒット商品となっていく、それが現在の中国の現状です。また良い評判同様に悪い評判もすぐに広がってしまいますので、注意が必要です。

5.日系企業のビジネスチャンス

一人っ子政策の影響で中国人の子育てに対する熱意はすさまじいものがあります。子供の教育のためなら幾らでもお金を使う、そういった家庭は多く存在します。中国人だけでなく外国人も多く訪れる「SORANA」というショッピングモールがありますが、その一角にKidTownがあります。そこでは多数の店舗でベビー用品を販売し、アミューズメント施設も整っています。しかし現地の中国の方に言わせると、「ここで買うことはあまりなく、日本のベビー用品の方が信頼できるので、日本で購入します」という意見も多いようです。ベビー用品に限らず、日本製品に対する中国国民の信頼は非常に厚いものがあります。子供には良いものを着せて、良いものを食べさせ、良い教育をしたい。高所得者がどんどん増えるなか、多少値段が高くても良い商品をという層はますます広がりをみせています。

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