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【ペルーコラム】日本人と同じ蒙古斑点を持つペルー人と食文化

日本のTV報道番組でよく紹介されるのが、南米のペルー共和国である。世界遺産としてクスコ、マチュピッチュの遺跡、ナスカの地上絵など読者も良くご存じのペルーの一面をご紹介したい。南米諸国は、1492年コロンブスの新大陸発見から始まり約300年スペインの植民地であったが同国は1822年より独立した。植民地時代は、スペイン本国の宗主国の一つ(他にメキシコ、アルゼンチン)であった為、中央集権的階級制度が布かれ、それが現在でも大荘園制度として残存し、富の不平等化を長い間招いて来た。

ペルー原住民は、日本人と同じく赤子の時はお尻に蒙古斑点がある。これは人類学的に言えば、約5万年前アリューシャン列島を越えた蒙古人が、北米のインディアン、グアテマラの原住民、コロンビア・ペルーの原住民として分派し定住したのが歴史的背景である。

ペルー共和国は、人口約2900万人、国民一人当たりのGDPは、約6500米ドル、経済成長も2008年以降安定し年7~8パーセントの成長であり、特に最近は2013年メキシコ、コロンビア、チリ国と太平洋同盟を結成し、域内の投資・貿易の活性化、日本とのEPA(経済連携協定)を2012年に締結している。

ペルーは気候的に、熱帯、亜熱帯、温帯に属する国であり、果物、野菜類は豊富で多品種ある。知らない人が多いが我々が日常消費しているトマト、トウガラシ、ジャガイモ(イモ類)、イチゴ、トウモロコシの原産は、ペルーであり新大陸発見後、これらの野菜・果物が欧州に伝わり、その後アジア、アフリカ、北米等に紹介されて行き、品種改良を経て世界の人たちに消費されている。韓国のキムチは、トウガラシを使うが、もしペルーで発見されていなければ韓国のキムチは辛味なしの単なる白菜漬けと言う事になる。

ペルー料理は、グルメである。地場の豊富な食材をスペイン式料理法を取り入れ、それを現地化風にしてあるので、ペルーではクリオール料理(Criollo)と呼ぶ。前菜、スープ、主食の献立が正式なペルー料理と言えるが、TPOと腹具合で単品でも簡単に料理が出来き、食事を取る事も出来る。またペルーは、南極からの寒流(フンボルト海流)が沖合を流れているので、魚介類の種類が豊富であり、日本人の好む魚料理は、天下一品である。例えば白身の魚をレモン汁でしめたセビーチェ(魚介のマリネ)、その材料に高級な魚のヒラメを使う事もある。家庭的料理としては、揚げたジャガイモと牛肉、トマト、玉ねぎの醤油炒めのロモ・サルタード、ジャガイモをゆで、トウガラシとチーズのソースをかけたパパ・アラ・ワンカイーナなど日常家庭でも簡単に料理ができ、広く普及している。スペインが征服した時、原住民が自分達の動物タンパク源を確保する意味で、スペイン人に教えなかったと言われているモルモット科のクイと言うネズミがいる。高地に済む原住民が自宅で飼育し、祭りごと,あるいは賓客をもてなす高級料理と言えるこのクイの肉の炭火焼きが最高に美味しい。残念ながら日本のペルー料理店では、味わう事は出来無い。是非ペルーに旅行され、観光、食文化を楽しんで頂きたい。


sakai.pngLAPITA専任アドバイザー
酒井 芳彦
(前 味の素株式会社中南米本部長・理事)

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