2本の水流が落ち合う地で育まれた伝統の染物文化
新宿の落合は、明治から大正時代に職人が集った染色の伝統が息づく地域です。染色に欠かせない澄んだ水流が豊かな神田川と妙正寺川。2本の美しい水流が「落ち合う」地である落合は、職人たちにとって絶好の生産地でした。
染の里おちあいの前身である株式会社二葉は、大正9年に落合にて創業。職人一人ひとりの自由闊達な表現を楽しめる染色工房として人気を博しました。時代やセオリーに囚われずに新しい図柄を生み出し続ける文化は今も顕在。現存する染色工房の中では最も古い歴史を持ちながらも、現代のトレンドに合わせた図柄を生み出し続ける先駆者であり続けています。
東京染小紋・江戸更紗の図柄選びを通じ、歴史と文化を知る
本プランは、東京染物の技法を用いた染入れ体験です。職人が図柄を染色したスカーフへ、ご自身の手でイニシャルを染め入れていただきます。体験の始まりは、落合地区の染色や江戸小紋の歴史を学ぶ動画視聴から。工程を体験する前に歴史を学べば、染物の背景にある時間の流れを感じ取れるようになるでしょう。
実際に職人が染色した小物や着物を鑑賞した後は、ご自身の体験に使用するスカーフの柄選びです。お選びいただける柄は、染の里おちあい自慢の東京染小紋・江戸更紗の型紙集から。図柄と色を選んだ時の気持ちは、いつでも思い出せる色鮮やかな旅の思い出として残り続けるでしょう。
世界でひとつだけのスカーフに、素早く丁寧にイニシャルを染め入れる。
染色の各工程を見学できる工房巡りの後は、いよいよご自身の手によるイニシャルの染色です。工房巡りの間に職人が図柄を染色したスカーフへ、お好みの色でイニシャルを染め入れます。図柄の中に文字を溶け込ませるもよし。生地の端に染め入れるもよし。自分らしさを表現できる染め入れ場所を選びましょう。
好みの色を決めた後は、円形の丸刷毛を用いて染料を布地へすり込みます。染物に使用する染料は、力加減ひとつで色が変わるほどデリケート。素早く、それでいて丁寧に丸刷毛を回転させ、自分ごのみの色を染め入れましょう。指先の動きひとつで布地の色が美しく変化する体験は、染物の歴史を体感できる貴重な時間となるはずです。
職人から感じる江戸染物の伝統を振り返って欲しい
体験の最後は、職人との記念撮影。何百年と受け継がれた技術を何十年と磨き続ける職人とのふれ合いは、日常にはない価値あるひとときとなるでしょう。
イニシャルを染め入れたスカーフは、職人による蒸し・水洗・乾燥の工程を経て、後日郵送いたします。美しく仕上がった紋様に触れながら、江戸染物の伝統に触れた一時を思い出してください。
1920(大正9)年、水量豊かな神田川と妙正寺川の合流地である新宿区落合にて「二葉屋」として創業。創業から100年超、繊細かつ緻密な柄の東京染小紋、表現豊かな多彩染めの江戸更紗を継承し続ける。2020年に「一般社団法人染の里おちあい」へと生まれ変わり、小紋や更紗の絵柄を施した現代風アイテムの展開や染色体験を通じ、江戸文化の魅力を広く発信する。