江戸時代に誕生したとされる伝統工芸品
成人式や七五三など、女性がハレの日に着る和装に合わせて美しさを引き立てる「つまみかんざし」。着物が当たり前だった江戸時代に長襦袢を切って”つまみ”ながら作ったのが最初だと言われています。当時は物を捨てる文化がなく、美しい生地を無駄なく使うことから「つまみかんざし」は誕生しました。
日常を華やかに彩り続ける「Arenca」
一度使うと次の出番がなかなか来ない「かんざし」ですが、職人の手によって作られた華やかで美しい「かんざし」を日常でも楽しんでいただくために「Arenca」は生まれました。花を活けるようにスポンジへ「つまみかんざし」を差している「Arenca」は、可愛らしい花束のようにインテリアとして飾ることもできれば、専用のフォトフレームに差し込んで思い出の写真に華を添えることもできます。
想像するだけで心が躍る生地選び
かんざし杉野での体験は、講師が糊引きした板を受け取り、6種類の「Arecna」から好きな色を選ぶことから始まります。次に、既製の「つまみかんざし」を選んで「Arenca」へ加えます。
この時点でオリジナル作品にはなるのですが、ここからが体験者の腕の見せどころ。なんと100種類近くある生地から花弁となる5枚を選び、さらに「Arenca」へ加える「つまみかんざし」を制作していきます。
生地の選び方に決まりはなく、全て同じ色の人から全て違う色の人まで様々です。柄のある生地は、完成した際にどこが表に出るのか分からない面白さもあるのだとか。
世界に一つだけの「つまみかんざし」が誕生
生地を選んだら、つまみ細工の基本である「丸つまみ」を作っていきます。講師のお手本を見ながらピンセットで丁寧に折っていき、板に並べます。実際に板に並べると、カラフルな花弁はまるで瓦屋根のよう。この様子から「屋根を葺(ふ)く」と言うように、丸つまみを並べていくことも「葺く」と呼ぶそうです。
5つの花弁を作ったら、「つまみかんざし」の土台にでんぷん糊を付け、花弁を乗せていきます。江戸時代はお米を潰してでんぷん糊を作っていたため、せっかくの作品がネズミや虫に食べられてしまったのだとか。そのため、江戸時代の「つまみかんざし」で現代に残っているものはありません。
5つの花弁を土台に乗せ、糊が乾いたら完成です。糊が乾くまでは24時間かかるため、それまでは専用のケースに入れて持ち帰ります。
体験後は作った作品をSNSで発信すると「さがり」のプレゼントも。「さがり」は「Arenca」に付けることもできるので、ぜひ”世界で一つだけの作品”をSNSで自慢してみてください。
デジタルが普及する今だからこそ、伝統工芸の魅力を再発見
デジタルが普及する今だからこそ、自らの手で作り上げるアナログな体験を通じて、伝統工芸の魅力・楽しさを再発見できます。より「つまみかんざし」の価値を感じられ、自身で作った作品にも愛着が湧くでしょう。
日本はものづくりにおいて高い技術を持っています。国内のみならず海外にも積極的に伝統工芸の魅力を発信する「かんざし杉野」が誇る「Arenca」を手に取り、一生に一度ではなく、”一生にわたって”生活に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。その空間には、「Arenca」の花のみならず、体験者の笑顔も一緒に輝くことでしょう。
有限会社杉野商店は昭和23年(1948年)に創業。以来、向島の地で「かんざし」を中心とした髪飾り品の普及と認知向上に努めている。「かんざしを通じて心華やぐ感動体験をお届けします」をコンセプトに、地元の小学生を対象にワークショップを開催するほか、海外へも日本の伝統工芸を発信し続けている。平成30年(2018年)には東京都伝統工芸品産業功労者感謝状を授受した。