時間を忘れて没入する「木目込絵馬」作り体験。
旅の思い出を絵馬に乗せて

江戸木目込人形

株式会社柿沼人形

体験の概要

埼玉県越谷市「株式会社柿沼人形」にて、木目込み絵馬の制作を体験できるプランです。木目込とは、人形の型に掘られた溝に布を押し込む(木目込む)技術。約290年前に生まれた伝統的な技法を使い、絵馬に飾られた半立体の人形への木目込みを体験していただきます。思いを込めて木目込むひとつひとつの作業を通じて、人形文化を愛する日本人の思いに触れてください。

体験の特徴

職人の手ほどきを受けながら、大半の工程を体験者自身が行ないます。木目込人形が作られる過程をほぼすべて体験することで、自分の分身のような世界でひとつのオリジナルの絵馬を制作できます。

体験の詳細

70年の伝統を守りながら自由な発想で発展を続ける

人形を飾り愛でる風習は、厄除けや長寿健康を祈念する日本の伝統的な文化のひとつ。木目込人形は貴族階級から庶民まで幅広く愛され続けてきた人形のひとつとして、現代に受け継がれています。

木目込人形の発祥は、今から約290年前。京都の上賀茂神社に仕えていた「高橋忠重」が小ぶりの人形に衣装の切れ端を木目込んだのがはじまりといわれています。神社の名から「賀茂人形」と呼ばれた人形はやがて京都へと広まり、明治時代に東京の人形師「吉野栄吉」の手で東京に渡ることに。後に木目込人形と呼ばれるようになり、多くの市民に愛されるようになりました。

柿沼人形の創業は1950(昭和25)年。人形師の下で修行をしていた初代・柿沼東光氏が東京都荒川区で独立したのが始まりです。良質な胡粉の産地汐入(現・南千住)で地盤を作り、やがて現在の埼玉県越谷市へと移転しました。伝統的な技法を継承しつつ、螺鈿の象嵌や彩色二衣重といった独自技術を取り入れた先進的な人形作りを追求。「節句だけではなく日常でも楽しめる人形を」という思いから、カラフルな招き猫やキャラクターとのコラボレーション人形など、従来の木目込人形の枠にとらわれないユニークな作品を送り出し続けています。

日本を象徴する絵柄の木目込絵馬を体験

本体験では、小ぶりな木目込人形が絵馬になった「木目込絵馬」の制作を体験していただきます。最初は木目込人形の歴史や人形が持つ意味について話を聞いた後、職人が作業をする工房の見学へ。桐の粉と糊を混ぜ合わせた「桐塑(とうそ)」で作られた人形の体へ、布を一枚一枚木目込んでいく様子を見学しましょう。

サンプルの中から、体験で制作する絵馬をひとつ選んでいただきます。人形のモチーフは富士山+新幹線、招き猫、達磨、忍者、坂本龍馬の5種類です。半立体の人形部分は、まるで絵馬から浮かび上がったかのよう。日本文化を象徴する絵柄の中から、お気に入りのひとつを選びましょう。

時間を忘れて一枚、一枚。木目込む時間はあっという間に

体験で使う人形の型には、すでに溝がカットされています。糊を布を張る箇所に薄くのばし、竹串で溝に埋め込んだらいよいよ木目込みの作業です。溝に沿うように布を合わせ、金属製のヘラで溝の中に押し込んでいきましょう。丁寧にじっくりと押し込みたいところですが、時間がたつと糊が乾いてしまいます。確実に素早く木目込めるかが腕の見せ所。力任せに押し込まなくてもスルリと入っていきますので、リズムよくスピーディに木目込みましょう。

ひとつの部品を張り終えたら、余った布をはさみでカット。また次の箇所に糊をのばし、繰り返し布を木目込みましょう。溝が複雑な形の箇所や、布を細くカットしなければならない箇所は少し難しいかもしれません。職人の見本を参考にしつつ、手を借りながらひとつひとつ着実に仕上げていくごとに、薄い茶色一色だった人形がゆっくりと色鮮やかに表情を変えていきます。

いろいろな色や形の布を木目込み終えたなら、人間の目や新幹線の窓など、飾りの布を張って完成です。スタートから完成まで約1時間。真剣に人形に向き合い木目込み続けたあっという間の時間は、繊細で緻密な職人の技に触れる貴重な体験になるでしょう。

人形作りの楽しさを多くの人に知ってほしい

日本人形がどれだけの手間暇をかけて作られているのか、日本人でも知っている人はそう多くはありません。常務取締役・柿沼利光氏は「人形作りが楽しいと思ってもらえたら、ぜひアンバサダーとして多くの人に木目込人形を広めてほしい」といいます。

職人が人形と向き合う真剣勝負に思いを馳せながら、ぜひ時を忘れて没入する時間を体験してください。

株式会社柿沼人形 埼玉県越谷市新越谷1-21-11

1950(昭和25)年に東京都荒川区にて江戸木目込人形製造・販売業を創業。事業拡大にともない、1982(昭和57)年に現在の埼玉県越谷市へ工房を構える。伝統的な木目込人形の技法を踏襲しながら、螺旋の象嵌や彩色二衣重といった同社ならではの技法を追求。近年では節句人形に加え、招き猫をベースとした「風水」シリーズや「星に願いを」シリーズ、キャラクターとのコラボレーション作品など、日常に溶け込むアイテムの展開に力を入れている。

プラン詳細

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