何気ない日常を彩る「造花作り」体験
繊細な職人の技術に触れる製作体験

江戸木目込人形(造花)

有限会社岡半

体験の概要

埼玉県さいたま市緑区「有限会社岡半」で、卓上サイズのミニチュア盆栽作りを体験できるプランです。1922(大正11)年の開業から、子どもの無病息災を祈念する節句人形を飾る人形用造花を作り続けてきました。主役である日本人形を華やかに飾り立てる造花作りに向き合うのは、職人の技術と信念、そして情熱。和の美しさを演出し続けてきた匠の技に触れられる体験です。

体験の特徴

日本における花木の文化的背景や込められた意味を学んだ後、卓上サイズのミニチュア盆栽作りを体験していただきます。日本人形を飾る脇役である造花にどれほどの手間暇をかけて創り上げるのか、卓越した技術と職人の心意気を体験してください。

体験の詳細

美しい節句人形を彩る造花作り

古くより、ひな祭りや子どもの日といった節句の祝いは人形と共にありました。願いを込められたお守りとしての役割をもつと共に、華やかな祭事をもり立てる飾り物として大切にされてきた人形。その傍らには、季節の花をかたどった造花が添えられています。

岡半の創業は1922年、大正11年に遡ります。15歳で鼻緒屋、19歳で造花屋に弟子入りした初代・岡田半蔵氏が25歳で独立し、浅草に工房を構えました。人気の歌舞伎を題材にした人形の小道具や祭礼用造花の需要は高く、作るだけ飛ぶように売れていた時代であったといいます。

1923(大正12)年の関東大震災を機に、親戚のいる埼玉県浦和市(現さいたま市)へ移転し、人形用造花製造を継続。布や和紙の染色、裁断、組み立てといったすべての工程を手作業で行う造花作りを確立し、三代目・岡田雄二氏の代となった今も伝統的な技法を守り続けています。

伝統技法が生み出すミニチュア盆栽

本体験の始まりは工房の見学から。どこにでもある布や糸がどのように花の形へと変化していくのか、工程を追っていきます。ふんわりとした曲線を描く布製の花びらは、まるで今摘んできたかのよう。鮮やかな造花の姿からは、瑞々しい生命力すら感じられます。

体験では、ミニチュアの松の造花である「盆栽小鉢」を製作していただきます。松は不老長寿の象徴とされており、夫婦円満と長寿の贈り物として使われる「高砂人形」にも添えられる縁起物。岡半は高砂人形に用いられていた伝統技法を応用し、インテリアとして楽しめる松のミニチュア盆栽を製作しています。

専用のこてを使い松の葉を広げる

完成品の土台となる鉢を選んだ後は、盆栽の主役となる松の葉を作ります。ふんわりとした松の葉を形作るのはレーヨンの糸の束。細い糸がどのように丸い松の葉に変わるのか、想像力を働かせてみてください。

職人の実演を参考に、早速松の葉づくりへ。根元に造花用のこてを当てながら、丁寧に糸を外側へ開いていきます。レーヨンは熱で変形しやすいため、こてを長時間当て続けるのは厳禁です。すばやく確実にこてを押し当て、外側へ大きく糸を広げましょう。
盆栽小鉢に必要な松の葉は、全部で18個。2つ、3つと松の葉を広げていくうちに、自信を持ってこてを握る自分に気づいていくはずです。

雄大に広がる枝に広がる葉が大きな存在感を生む

広げ終わった18個の松の葉は、藁で作られた幹・枝に差し込みます。作品としての盆栽の形は、差し込まれる葉のバランスによって決まります。最も高い枝である「天」に5つ、雄大な枝の広がりを見せる「大袖」に4つ。残りの9つを各所に配置していきましょう。
バランスよく散りばめるのか、一方に寄せてアンバランスさを楽しむか。あなたのセンスが訴えかけるままに表現してみましょう。

すべての葉を差し入れ終わったら鉢へ幹を刺し、最後に木くずで作られた苔を塗れば完成です。あなたが作った目の前の盆栽小鉢は、世界にふたつとありません。自宅の机の上にある松を見る度に、こてを当てるたびに松の葉が変わっていく驚きと、自分のセンスで創り上げた感動を思い出せるでしょう。

何気なく日常を彩る造花の温かさに触れて欲しい

「伝統を守りながらコツコツと造花を作り続けています。何気なく添えられている花がどのように作られているのか知ってもらい、手作りのファンになってほしい」と話すのは、三代目・岡田雄二氏。日常の風景をひっそりと、そして温かく彩る造花作りを通じ、伝統に向きあい続ける職人の心意気を感じ取ってください。

有限会社岡半 埼玉県さいたま市緑区太田窪3-2-8

1922(大正11)年に東京・浅草で創業。震災を機に埼玉県浦和市(現さいたま市)へと移転し、節句人形と共に飾られる造花作りを営む。近年では寺社・祭祀用造花に加え、盆栽小鉢やいちりん箸置きといった現代風の商品を展開し、国内外へ造花の魅力を発信する。

プラン詳細

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