きらびやかな箔をまとわせる和紙作り。
職人と向き合う0.1ミクロンの世界

からかみ

有限会社湯島アート

体験の概要

1897年創業、東京都文京区「湯島アート」では、お城や日本家屋の襖や屏風などに使われてきた美しい和紙の加飾技術を、伝統工芸士の指導のもと、金箔や砂子を使って模様を施す体験ができます。0.1ミクロンの箔が光を受けてきらめくその繊細な輝きは、日本文化の美意識の象徴とも言えます。「繊細さ」「余白の美」といった日本の美意識に触れる体験は、単なるクラフト体験を超えた深い文化交流のひとときです。またインテリアや贈り物として人気の高い伝統工芸品のひとつにもなります。創業130年の職人技に触れ、指導をいただきながら自分だけの作品を仕上げる特別な時間をお楽しみください。

体験の特徴

平安時代から続く歴史を持つ 箔砂子の加飾技術を、職人の指導で体験できる貴重なプログラムです。
0.1ミクロンの金箔を手作業で切り分け、季節の文様が描かれた和紙に加飾する工程は、繊細さと偶然性が融合した日本独自の美を感じることができます。伝統文化に触れたい方、クラフトやアートが好きな方、日本の美意識に興味がある方におすすめです。

体験の詳細

平安時代から続く歴史を持つ箔砂子の加飾技術

日本における加飾の歴史は平安時代まで遡ります。奈良時代には箔を用いた装飾の技法が誕生しており、装飾和紙が作られた記録が確認されています。平安時代には儀式用具や神社・仏閣の装飾に用いられると同時に、芸術の分野でも多くの作品に箔による加飾が施されています。当時の作品の一部は現存しており、平安時代(1164年)に平家が厳島神社へ奉納した「平家納経」からは、卓越した箔砂子の技術と洗練された美意識がうかがえます。

湯島アートの創業は1897(明治30)年。初代・一色吉太郎氏により湯島の地に誕生します。皇室のメニュー用紙に箔砂子を加飾するなど、その実力は高く評価されていました。二代目・一色一夫氏の時代にはからかみへと軸足を移し、箔砂子を活用したデザイン・印刷を展開。三代目・一色清氏が継承したすべての工程を手作業で行う高度な技術は高く評価され、2001年に経済産業大臣指定伝統工芸士の認定を受けています。

圧さはわずか0.1ミクロン。儚く繊細な箔に向き合うひととき

本体験では、箔を用いたからかみへの加飾を体験していただきます。からかみとは、手漉き和紙に文様を施した装飾紙で、襖や屏風などに使われてきた日本の伝統工芸品です。伝統的な技法により飾られた文様が美しく、インテリアや贈り物として人気の高い伝統工芸品のひとつです。
箔を用いた加飾は、からかみの魅力を引き立てる代表的な技法。儚くもきらびやかな箔の輝きが歴史を重ねた今も支持されています。

加飾するからかみは、春夏秋冬をモチーフとした4種類の図柄からお選びいただけます。体験時の日本の気候に合わせて選んでもよし。故郷の風土を想起させる図柄を選んでもよし。ご自身の想いが赴くままに1枚を選択してください。

続いて加飾に使用する切箔を作成します。大きな箔を切り分ける工程はすべて手作業。わずか0.1ミクロンと言われる圧さの箔の加工は、機械任せにはできません。作り出す切箔の形は、正方形の「石」と細い糸のような「野毛」の2種類。わずかな空気の流れで吹き飛んでしまわないよう、マスクをしたうえで呼吸を止めながらゆっくりと切り分けましょう。

季節を描いたからかみへ施す世界に一つの箔砂子

切箔作りの後は、からかみへの加飾が始まります。薄く軽い切箔を定着させるため、からかみの表面に薄くのりを塗りましょう。完成後に紙が重くなりすぎないよう、ここでは薄く広く塗るのが理想。加飾前にのりが乾いてしまわないよう、スピーディにのりを伸ばす腕が試されます。

ここからはいよいよ加飾の本番です。のりを薄く伸ばした紙上に、先ほど切り分けた「石」と「野毛」を散りばめていきます。目の荒い砂子筒をトントン、トントンと優しく叩くたびに舞う石と、一本一本ゆっくりと存在していく野毛。狙った場所になかなか置けない難しさこそが、偶然性を尊ぶ日本芸術の面白さです。

最後は職人による実演です。石や野毛よりもはるかに細かい切箔である「砂子」をからかみ「雲砂子」に加飾する「砂子蒔き」は、砂子屋が長年培ってきた技術の真髄。まるで生き物のように移り変わるからかみの表情を楽しんだあとは、ご自身と職人が手がけた2つの芸術品をお持ち帰りください。

過去から未来へ。変化を続ける箔砂子を体験して欲しい

「砂子は長い伝統を持ちながら今も進化を続けています。砂丘の紋様や水面の輝きを砂子屋の技術だけで表現するのが目標。ぜひ砂子の伝統と進化を体験していただきたいですね」と、3代目・一色清氏は語ります。
数千年の歴史が生み出した伝統と、新たな未来を生み出す可能性が共存する箔砂子の世界。ぜひ加飾体験を通じて、過去から未来へつながる時の流れを体感してください。

有限会社湯島アート 東京都文京区湯島3-21-2

1897(明治30)年に東京都文京区湯島にて創業。金銀箔を細かく砕いて蒔く「金銀箔砂子紙」、金銀箔をすり砕いた泥を刷毛で引く「泥引き紙」など、伝統の加飾技法を継承する。からかみへの加飾を手がけた先代の流れをくみ、当代である三代目・一色清氏は加飾小物や壁飾りなど、砂子で飾り付けた現代風の商品を多数展開。伝統技術を尊重しながらも、今なお新たな表現方法を追求し続けている。

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