時代の変遷と共に歩んだ歴史
宇野刷毛ブラシ製作所の創業は1917(大正6)年。約100年もの昔、初代・宇野三保司氏が、現在の墨田区で創業しました。
糊や塗料等を「塗る」ための道具である刷毛は、職人にとって無くてはならない存在。次第にさまざまな用途の刷毛の注文を受けるようになったといいます。
伝統から革新へ。新時代のブラシ作りへ
その後、昭和に入り現在の場所に移転してからは使う人との接点が生まれたことで様々な用途に応じた刷毛の注文うけるようになったといいます。後には伝統的な刷毛づくりに加え、金巻刷毛の製造が開始されるようになりました。やがて刷毛製造の技術を活かしたブラシ製造を始めるなど、事業を拡大させ続けました。平成に入った後は販売力を向上させるために法人を設立。職人のための道具を作り続けることに加え、デザイン性や遊び心を盛り込んだ革新的な商品を世に送り出し続けています。
今にも飛び立ちそうな千鳥ブラシ作りを体験
本体験では、宇野刷毛ブラシ製作所の名物商品のひとつである「千鳥ブラシ」の作成を行います。プロダクトデザイナーの大野篤子氏が手掛けた可愛い鳥があしらわれたブラシ本体は、今にも飛び立ちそうな躍動感が感じられる一品です。選べるカラーは赤・白・黒の3種類。自宅のインテリアにマッチしそうな一羽を選びましょう。
腰のある馬の毛がしなやかさを生む
選んだ千鳥の植毛部分の台座を万力に固定したら、ブラシ部分になる毛を植え込んでいきます。ブラシに使われる毛は馬の尻尾の毛。適度な硬さと腰がある馬の尻尾は、しっかりとホコリを払うことができてテーブルブラシにぴったりなんだそうです。
ぐっと引く力が上質な手植えブラシの秘訣
台座の穴に針金を通し、作った輪っかにひとつまみの毛を通していきます。力いっぱい針金を引き、毛を台座に植え込む作業を繰り返すと、ゆっくりと少しずつブラシが出来上がっていきます。毛が抜けにくく長持ちする手植えブラシに仕上げられるかは、ここで毛をしっかりと植え込められるかにかっています。
植え込み終わった台座を本体にセットし、釘とボンドで固定。最後に毛先を揃えれば千鳥ブラシの完成です。じんわりと汗をかくほど力を入れて作り上げた千鳥は、すでに道具以上の存在です。普段はインテリアとしてかざりつつ、さっと汚れを掃き落とせるパートナーとしてご活用ください。
そっと一掃き。身近にブラシがある生活を
三代目・宇野千栄子さんと娘・三千代さんが守る伝統の刷毛・ブラシ作りの技。三千代さんは「ブラシは日常生活を支える身近な存在。ぜひ手植えブラシの暖かさと繊細さを感じ取ってほしい」といいます。毎日の生活を優しく支えるブラシを身近に置き、毎日一掃きを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
1917(大正6)年に現在の墨田区にて創業。刷毛づくりから始まり、次第にブラシづくりにも着手。刷毛、ブラシは道具として人を支えている。近年は動物や鳥のデザインをあしらったポップなインテリア性のあるブラシが注目を集める。