特定技能2号と定着に関する情報交換会
2026年1月19日、特定技能2号制度、企業への定着などについて、受入事業者、外国人材、登録支援機関、農林水産省の担当者などが事例や課題を共有する情報交換会が開かれました。それぞれの立場から現場目線で取り組みが紹介され、今後求められる支援や制度について意見が交わされました。

- 会期
- 2026年1月19日(月)13:00~15:00
- 場所
- 新宿三井ビルディング 株式会社JTB第二事業部内会議室
- 主旨
- 1号・2号特定技能外国人の育成・キャリアアップに関する各担当者からの 「課題感の洗い出し」
- 対象者及び人数
- 受入れ事業者3社、特定技能外国人2名、登録支援機関2社、職業紹介事業者1社、自治体2地域、農林水産省
- 受入れ事業者属性
- 飲食料品製造業分野/製造業務請負
外食業分野/つけ麺専門店、ケータリングサービス
テーマ①:特定技能2号制度における取り組みや課題
まず情報提供として、登録支援機関が、特定技能2号に関して現在実施しているさまざまな取り組みや課題を紹介しました。
- • 特定技能2号制度の正しい理解促進
- • 特定技能1号から2号への基本的なロードマップの提示
- • 受入企業側の待遇面等の制度整備不足、長期定着を見据えたキャリアパスが不明確、定住を見通した生活支援体制の未整備などが課題
- • 2号技能測定試験の合格率が予想より高く、リーダーの人数が想定を超過してしまう受入事業所も出ている
- • 特定技能2号には支援の「義務」はないが、必要性を認識し、継続して支援を実施
- • 試験の対策教材をスマホアプリで提供。N2以上を目標とする日本語教育体制の整備
- • 日本人実務者向けに指導方法についてセミナーを企画
- • 特定技能2号外国人のリーダーとしての指導力育成、日本人社員の意識改革(特定技能外国人を長期雇用の人材として捉える)が課題
- • 外国人向けの定期的な情報発信(自転車ルール、SNSによる情報漏洩への注意喚起等を多言語動画で配信)
- • 日本特有の“暗黙の了解”を明文化してルールの理解促進を図る必要性
【キャリアプラン策定に向けたサポート】
【支援と教育】
【地域社会との共生】
また、外食業の受入事業者は「特定技能外国人はキャリアアップを希望する方が多く、特定技能2号へのステップアップは重要なテーマ」と自社の方針を紹介した上で、具体的な取り組みとして、
- • 定期面談で特定技能2号制度について説明し、早い段階から特定技能2号を将来の選択肢として意識付け
- • 2号技能測定試験の受験料免除と学習サポート資料の提供
- • 発注や後輩の指導など、実務の中で役割を広げて経験を積めるよう店舗と連携
などの支援策を共有しました。
特定技能2号希望者への支援について、各社が共通して強調したのは「早期サポートの重要性」です。参加者からは、
- • 管理業務で2年の実務経験を積むためには、特定技能1号の早い段階で希望を確認して支援を始める必要がある
- • 特定技能1号として採用する段階で2号の話をしておかないと遅い
- • 採用面接時に特定技能1号取得の意向を確認し、その後も日常会話の中で将来の展望を聞きながら支援を考えている
といった取り組みや課題感が紹介され、受入事業所や登録支援機関からの意思確認や働きかけの重要性が示されました。
また、2号技能測定試験合格や制度に関して、現場レベルで抱えている課題も共有され、
- • 自主学習は継続が難しい。試験対策講座を企画すると、最初は大勢参加するが、モチベーションが続かない
- • 漢字でつまずく人が多く、試験対策のテキストから抜粋した用語集を作って対応している
- • 勉強時間の確保が課題。試験間近の時期は勤務時間内に一定の勉強時間を設けるようにしているが、店舗によって取り組みに温度差がある
- • 国籍によって2号技能測定試験の合格率に差が出ている。国によっては、業務では支障のない日本語レベルなのに試験には合格できない、というケースも見受けられる
- • 能力が高く、特定技能2号を希望しているが、周囲の外国人材との軋轢を避けたいという理由で、管理職に難色を示す人がいる
など、複雑な実情が報告されました。このうち、モチベーションの維持に関しては、
- • 目に見える形のインセンティブはやはり有効
- • 試験対策講座や受験の費用は、まずは外国人自身に負担してもらい、合格後にその費用分をボーナスとして支給する方が、学習意欲が継続し合格に繋がるようだ
といった声も挙がりました。
一方で、「特定技能2号の外国人が日本人スタッフに指示をしても従わないことがあった。上司から外国人へ対応をアドバイスし、業務終了後に1対1で話して信頼関係を築いて改善された」「特定技能外国人が、自分より勤務歴の長い日本人アルバイトに指示を出しにくい様子が見られる」といった実情も報告され、社内理解の拡大も特定技能2号取得後の活躍に必要であることがあらためて浮き彫りになりました。
テーマ②:企業への定着における取り組みや課題
外国人材の長期定着のため、各受入事業者ではさまざまな施策が進められています。定着のポイントとして、参加した企業が共通して挙げた要素が、「コミュニケーション・人間関係」です。各社からは、
- • 現場の課題を現場の社員がすぐに解決できることが定着につながるのではないか
- • 退職理由で多いのは「人間関係」。現場で何かあった時にすぐフォローできる体制が大事
- • 現場が仕事に追われてコミュニケーションが十分取れないことが悩み
などの課題感が示されました。その対策として、
- • ほとんどの外国人は不安があっても「大丈夫です」と答える。そこで終わらせず、本部の担当部署と店長が連携して本人とコミュニケーションを取り、ストレスや不安を解消するよう努めている
- • 店舗だけが居場所になって孤立してしまうことのよう、食事会などを開いている
といった取り組みが紹介され、精神的なケアも含めたきめ細かなコミュニケーションが重要であることが指摘されました。
そのほか、定着に向けた具体策として、
- • 店舗によって受入れ体制に差が生じている。本部として受入れの仕組みの標準化を進めたい
- • 外国人に不都合な条件は採用面接前にしっかり伝え、その後も入社まで繰り返し確認している。
- • 登録支援機関と受入事業者が密な協力体制を作ることが、外国人への支援強化と定着につながる
などが挙げられました。
一方、定着が進んだからこそ生じる課題として、産休・育休の取得についても意見が交わされました。
- • 産休期間の1週間前に突然申請されて企業側が対応できず、さまざまな要素が重なって本人と受入事業者の関係性が壊れてしまった例がある
- • 日本人でも外国人でも、産休・育休は復帰を前提としているため、新しく人を入れられないところが難しい
- • 産休・育休を取得する本人たちはもちろん、減員を支えてくれるほかのスタッフへの丁寧な説明やケアが必要
と苦慮する現場の様子が伝えられ、さらに「産休・育休そのものが問題ではなく、それを理由に外国人を排除する意識が生まれることが怖い」と周囲への影響を危惧する声も挙がりました。
こうしたさまざまな現場の声を踏まえ、農林水産省の担当者からは「産休・育休の問題は今後さらに増えていく。これは構造的な問題であり、実態に沿った制度設計をしていきたい。今日の情報交換会を通じて、非常に具体的な現場の課題や工夫をうかがうことができた。みなさんと意見を交換しながら、整った制度にしていかなければならないと強く感じた」と感想と感謝が述べられました。