地域共生と定着に関する情報交換会
2025年9月29日、特定技能外国人材の受入事業者、外国人材、登録支援機関、自治体の担当者などが集まり、地域との共生、企業における定着などについて現状や課題を共有する情報交換会が開かれました。

- 会期
- 2025年9月29日(月)13:00~15:00
- 場所
- TKP千葉駅東口ビジネスセンター
- 主旨
- 千葉県木更津市における採用・定着に向けた各担当者からの「取組事例共有」と「課題感の洗い出し」
- 対象者及び人数
- 受入れ事業者2社、特定技能外国人2名、登録支援機関2社、自治体4部署、農林水産省
- 受入れ事業者属性
- 飲食料品製造業分野/惣菜・冷凍食品製造業
外食業分野/ホテル・レストラン経営
テーマ①:地域との共生における取り組みや課題
関東地方の自治体の担当者から、外国人材(主に介護分野)の人材確保と育成支援、受入事業者との連携などについて、以下のような取り組み事例が報告されました。
- • 現地自治体と人材受入などを目的とする覚書を締結し、相互協力関係を構築
- • 研修費、日本語学習費用に対する補助金制度
- • 事業者の団体と現地大学の連携を支援し、マッチング、インターンシップによる就業機会創出
- • 市内事業者と国際交流や外国人材育成支援に関する包括連携協定を締結
- • 事業者向けに外国人材活用セミナー
- • 国際交流協会によるイベント実施
【外国人材の確保・育成支援】
【受入事業者との連携】
【国際交流】
一方、地域との共生、自治体との連携について、受入事業者側からは、
- • 行政手続きが複雑。住民税の金額が自治体によって違うことや、国民健康保険と社会保険の違いは、特に説明が難しいため、説明しやすい仕組みがほしい
- • 日本語教室がない自治体があり、ニーズに対して供給が不足している
- • 自治体の運動施設で外国人材がスポーツを楽しみやすい環境になれば、地域との交流の場にもなるのではないか
といった課題や意見が共有されました。これを受け、自治体側からも、「外国人の市民を対象にしたアンケートでは、もっと地域とコミュニケーションを取りたいという回答があった。日本語教育の充実と同じくらいコミュニケーションの場づくりも重要」と共感する声が上がりました。
テーマ②:企業における定着の課題と取組
特定技能外国人を受け入れる企業の多くが抱える課題が、人材の定着です。会に参加した受入事業者からも「前触れもなく立て続けに2人が転職してしまった」「首都圏以外の事業所で離職率が高い」といった事例が報告され、定着の難しさがあらためて浮彫になりました。
また、登録支援機関・監理団体からは日本が外国人材に「選ばれない国」になりつつあることについて、
- • 技能実習に関しては、ベトナムでは肌感でも分かるくらい人が集まりにくくなった。10年前は募集倍率が3~4倍だったが、今は2倍程度。ドイツ、韓国、台湾、オーストラリアなどに人気が移っている
- • ベトナムは、親が「日本は安全だから」と薦めるのでまだ応募があるが、やはり賃金が低いと厳しい
といった現状が紹介されました。そうした状況の中で、特定技能外国人を受け入れ、長く定着してもらうためには、さまざまな取り組みが求められます。参加した受入事業者側や登録支援機関からは、「外国人材も、賃金の高いところで働きたいのは当たり前。それを理解する必要がある」と企業側の努力の必要性が指摘されました。また、定着につながる取り組みとして、
- • ほとんどの外国人は不安があっても「大丈夫です」と答える。そこで終わらせず、本部の担当部署と店長が連携して本人とコミュニケーションを取り、ストレスや不安を解消するよう努めている
- • 店舗だけが居場所になって孤立してしまうことのよう、食事会などを開いている
といった取り組みが紹介され、精神的なケアも含めたきめ細かなコミュニケーションが重要であることが指摘されました。
そのほか、定着に向けた具体策として、
- • 定着にはコミュニケーションが非常に重要。バーベキューや交流会、飲み会など、コミュニケーションの場を設けるだけでも、モチベーションが上がる
- • 外国人材の枠組みの中で、管理職として指導やマネジメントを行う仕組みをつくる
- • 管理職という役職とインセンティブが、やりがいと責任感につながり、定着にも貢献するのではないか
- • 企業を横断したコミュニケーションの機会を定期的に設けている。「この登録支援機関があるから辞めたくない」と思われる立場になりたい
- • 海外から採用するより、すでに日本に在住している日本語学校の学生をもっと活用できないか。コンビニエンスストアやラーメン店でアルバイトをした経験がある留学生を採用した方が効率的
などの事例や意見が紹介され、コミュニケーションとモチベーション維持の重要性が共有されました。
また、定着のカギを握る要素の一つが、日本語力の向上です。各社とも日本語の勉強を「強制はしないし、できない」「個人学習に任せている」というスタンスを取りつつ、
- • 報奨金制度を設けて日本語能力試験受験を促している(N2合格:報奨金10万円+月額2万円の手当支給)
- • 職場の共通言語が日本語。外国人材同士がコミュニケーションを通して日本語を覚えている
- • 言葉は、楽しいコミュニケーションによって覚えるのが一番
など、取り組みやそれぞれの考え方が示されました。
一方、定着が進むことで生まれる別の課題も話題に上りました。外国人材の一時帰国や長期休暇への対応です。有給休暇は労働者の権利ですが、旧正月やラマダンの時期に休暇の希望が集中し、調整に苦心する受入企業も少なくありません。会の参加者からは、
こうしたさまざまな現場の声を踏まえ、農林水産省の担当者からは「産休・育休の問題は今後さらに増えていく。これは構造的な問題であり、実態に沿った制度設計をしていきたい。今日の情報交換会を通じて、非常に具体的な現場の課題や工夫をうかがうことができた。みなさんと意見を交換しながら、整った制度にしていかなければならないと強く感じた」と感想と感謝が述べられました。
- • 権利なので仕方がない。ただ、人手不足で雇用しているのに「1カ月休んで帰りたい」と言われると現実的に困る
- • 彼らにとって1泊2日は“旅行”ではない。1カ月の休暇は普通、という感覚
といった実情が伝えられ、対応の難しさに頭を悩ませている現状が共有されました。その対応策として、各社からは、
- • 採用前に家族を含めた面談を行い、その場で「希望した時期に休暇が取れない場合がある」と説明し、理解した上で入社してもらう
- • 繁忙期や希望が集中する時期には帰れないこととあわせて、この時期ならOK、と落とし所を示して納得してもらう
といった取り組みが報告されました。
最後に、農林水産省の担当者が「お話をうかがい、コミュニケーションや日本語能力の向上などがポイントだと感じた。育成就労制度への移行に向けて準備が進んでいるが、私たちも政策的にどのようなことができるかを考えていきたい」と感想を述べ、会を締めくくりました。