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【JTB海外駐在員コラム】中国(広州)編~中国を席巻する自転車ビジネス~

国内外の独自のパートナーシップの構築により日本企業のグローバルビジネスをJTBグループがお手伝いするラピタより、海外に駐在するJTBの社員による現地の最新情報をご提供いたします。


今回は、中国(広州)からのコラムをお届けします。


 現在中国の都市部で流行している自転車シェアサービスについてご紹介致します。


広州の街を歩くとオレンジ色の車体の「Mobike(摩拝単車)」を至る所に見かけます。これはどこにでも乗り捨て可能なレンタル自転車です。使用方法は簡単で、アプリをダウンロードし、IDナンバー(中国人は身分証、外国人はパスポート)を入力、電子マネーで299元のデポジットを支払えば登録完了です。自転車にはGPS機能が付いており、アプリでどこに自転車があるのか検索することが可能です。自転車を使用したい場合は、車体に付いているQRコードをアプリで読み取れば自動的にロック解除され、使用後は手動でロックをすれば電子マネーで自動的に決済されます。その利用料金は0.5元~1元/30分とかなりお手頃です。

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 驚くのはその普及のスピードでした。このビジネスは北京、上海から始まり、広州にMobikeがやって来たのは半年ほど前です。最初の頃は台数もあまり無く、たまに自転車やユーザーを見かける程度でしたが、1ヵ月もしないうちに街にこの自転車が溢れることとなりました。またMobikeを真似して、すぐに何社も自転車シェアサービスを始めました。広州では現在、主に4社が運営を行っているという状況です。実際に私も広州で3つの自転車シェアサービスを使い分けており、その便利さを実感しているユーザーの一人です。


 Mobikeが流行している理由としてはさまざまありますが、主には以下の点かと思われます。
 ①探索から決済まですべてアプリ内で行うことが出来て、どこにでも乗り捨て可能なお手軽さ。
 ②通勤・帰宅ラッシュの自動車渋滞や公共交通機関の混雑を回避できる。
 ③「運動=健康」というワードに敏感な現代中国人の特性。


 しかし、その便利さとは対照的にさまざまな問題も出てきています。
一つを例に挙げるとユーザーのマナーです。基本的には使用後は公共の駐輪場に停めるというのがルールですが、中には歩道や道路、私有地に停めてあったり、「何でこんなところに?」と驚くような場所に停めてある光景も目にしたりします。どこでも乗り捨てOKというルールはユーザーのモラルに頼る部分が大きいということになります。また乗る際のマナーについても、歩道での乗り方や信号無視など目に付く場面はあります。歩行者が渡っている横断歩道を自転車がスピードを上げて横切って行く光景は、見ているこちらがヒヤヒヤします。
その他にも、何万台もの自転車のメンテナンスや管理など問題点や疑問点はありますが、今後どのように改善・進化していくのか興味深いです。
 圧倒的な人口や、便利なものにはすぐに飛びつく中国人の特性を生かしたビジネスと言えると思います。



※本サイトに掲載のレポートやコラム及びリンク先などの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、弊社の公式見解をあらわすものではありません。

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