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【JTB海外駐在員コラム】フィリピン(マニラ)編

国内外の独自のパートナーシップの構築により日本企業のグローバルビジネスをJTBグループがお手伝いするラピタより、海外に駐在するJTBの社員による現地の最新情報をご提供いたします。


今回は、フィリピン(マニラ)からのコラムをお届けします。


 皆様は、フィリピンにどのようなイメージをお持ちでしょうか。

 Google検索で「フィリピン」と入力すると、予測検索ワードに「フィリピン 治安」と出てきます。治安が悪いイメージを持たれているのだろうと言う事が読み取れます。
 一方で2015年の統計に目を移して見ると、人口は1億人を突破(ASEAN2位)、一人当たりGDPは2,858米ドル(ASEAN6位)、経済成長率は5.8%(ASEAN5位)と、ASEAN加盟10カ国の中でも存在感を増してきている事がうかがえます。
 今回のコラムでは、一般的なイメージと統計の数値がリンクしづらいフィリピンの様子を、マニラ駐在員の視点でレポートいたします。


<治安>
 過激な発言で注目を浴びるドゥテルテ大領領が、ダバオ市長時代に超法規的手段も取り治安を良化させた人物である事は、日本でも報道され多くの人の耳に入っている事と思います。このような報道があると治安が悪く感じられますが、自身の身が危険にさらされた事は一度もありません。
 多くの日系企業が進出し居住者も多い経済の中心マカティ、また私の勤務・居住するボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)では、通常の生活・ビジネスをしている限り危険に感じることはありません。特に2000年以降に開発されたBGCはシンガポールにいるかと錯覚するような町並みが広がっています。しかしながら、コンドミニアム・オフィスビルやショッピングモールのエントランスには銃を持ったガードマンが常駐しています。治安は悪くないとは書いていますが、彼らの存在なしに治安が保たれるかと問われれば、恐らく答えは"NO"でしょう。また、旧市街を始めとして治安の悪い場所がある事も事実です。


<交通インフラ>

MNL Column 20161215.png 残念ながら、交通インフラの整備が都市の成長に追いついていないのが現状です。マニラへ出張でお越しになった経験のある方の中には、ピタリと動かない渋滞に酷い思いをなさった方もいらっしゃるのではないでしょうか。



・増える自動車
 東南アジアの都市で溢れかえる自動車と聞くと、中古車や古い自動車をイメージなさる方が多いのでは?と思います。しかし1日でもマニラに滞在してみると、走っている自動車の年式が新しい事に気づくことでしょう。見たままの感覚では、8割程度が3~4年以内の新しい車両です。これは紛れもなく、フィリピンがここ数年で急成長を遂げている事の証であると言えます。フィリピンの自動車産業は好調であり、今後ますます自動車が増えて行くものと思われます。マニラ首都圏では、ナンバーの末尾で曜日ごとに走行を規制するカラーコーディングが施行されていますが抜本的な改善にはなっておらず、道路の整備を含め今後の政策に期待したいところです。


・交通機関
 乗り合い交通機関では、高架鉄道に始まり、路線バス・ジプニー・トライシクルなど、様々な交通機関が存在しています。中でも特徴的なのが写真のジプニーです。日本人駐在員の中には乗車経験のない人も多く、ローカル色の強い乗り物です。慣れてしまえば便利な乗り物で、私も最近は近所を走る路線では臆する事無く乗っています。1乗車7ペソ(=約14円)、乗りたい所で手を挙げて止めて乗り、降りたい時には「降ろして」と言って降りられるのが良いところです。しかし、この「どこでも止まる」システムが前述の交通渋滞に悪影響を与えています。
 個人で利用する乗り物としては、配車アプリの利用が盛んで、公私共に日常的に利用しています。行き先も確実に伝えられ、運賃支払いでトラブルに遭う事もなく安心です。


<言葉>
 公用語はフィリピノ語と英語とされています。学校教育は小学校から一貫して英語で行われているため、皆が英語を話せる環境です。オフィスを出て普段の生活でも、英語が通じなかった経験は皆無です。またシングリッシュのようなクセもなく、日本人にとって、おそらく英語話者にとっても聴き取り易い英語です。人件費・賃料の安さに加えフィリピン人の高い英語力が、BPO分野、特にコールセンター分野の急成長を助けていると言われています。
 また、ここ数年セブを中心として、(日本から)安くて近い英語留学先としても注目されています。現在では年間30,000人を超える日本人が長期・短期でフィリピンにて英語を学んでいます。学生の留学のみならず、社員向けの英語学習プログラムを実施している日本の企業もあります。


<おもてなし>
 言語と並んで特筆すべきフィリピンの特長と言えば、日本にも劣らない「おもてなし」の精神です。海外では日本に比べて、そっけない店員さんに出会う事が多いように思われます。そして、日本並みのおもてなしを受ける事など期待しないのが普通ではないでしょうか?フィリピンはこの点において、良い意味で期待を裏切ります。レストランでは日本で行われているように、注文の繰り返しはもちろんの事、笑顔で気持ちの良い接客を受けられます。
 多くの大学で、HRM(Hotel and Restaurant Management)学科が設置されており、ホスピタリティを研究しプロフェッショナルを輩出しています。高い英語力+高いホスピタリティ力を兼ね備えたフィリピン人は、世界中で活躍できるグローバル人材なのだろうと感じます。




※本サイトに掲載のレポートやコラム及びリンク先などの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、弊社の公式見解をあらわすものではありません。

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