【マレーシアコラムVol.2】断食後のお祝い、ハリラヤで飛ぶように売れる贈り物とは?
皆さん、こんにちは。
佐藤実左世です。
マレーシアでは、7月6日からハリラヤで大賑わいでした!
ハリラヤとは、ラマダン(断食)の終わりを祝う、イスラム教徒にとって大切な祝日。買い物に出かけたり、実家に帰ったりと、ちょうど日本のお盆のような雰囲気です。
なんせ、ラマダンの1か月間は、日中、食事はおろか、水すら飲まない生活が続くのですから、待ちに待ったお祝いの日!という感じでしょうか。
ラマダン中は、日が沈んでから翌日の日の出までなら食事をしてもいいことになっているので、夜のうちに食いだめしておこうと、その間のムスリムの人たちは夜更かしするのが一般的。そのため、ラマダン期間の日中は、食堂やお店が閉まっていたり、ビジネスペースがゆっくりになったりします。
そんな待ちに待ったハリラヤのお祝いですが、マレーシアでは祝日になっていて、ハリラヤ・プアサといいます。今年は、7月6日と7日の2日間でした。日本のお盆と似たようなところがありますので、もう少し長く休みをとって、実家でのんびり......という人たちも少なくありません。
さて、日本のお盆さながらにマレーシアのムスリムが大移動するハリラヤ。その際の手土産や贈り物として飛ぶように売れるのが〝ハンパー〟です。
ハンパー(Hamper)とは、イギリス発祥の習慣で、選りすぐりの食材をカゴに詰めて贈るギフトのこと。マレーシアはかつてイギリスの植民地でしたので、イギリス流の文化が残っているのです。
とはいえ、見た目や中身はすっかりマレーシア風に様変わりし、金色や赤色のド派手なカゴに、まるでタワーのように詰め込まれたものをあちこちで目にします。大抵はお菓子や飲み物を詰めたものが多いのですが、中には家庭雑貨のハンパーもあります。女性向けには、シャンプーやローション、化粧品などを詰合せたハンパーもありますね。
お値段はピンからキリまで。日本円で1000円くらいのものから、なんと20万円を超える高額ハンパーまであるんです!
ハンパーは、中華系の人たちもチャイニーズ・ニュー・イヤー(旧暦の正月)の前後に贈り物として使いますが、ムスリムの人たちが購入するハンパーはもちろん、すべてハラール。食品以外の雑貨類や、化粧品などもハラールです。
化粧品といえば、以前、マレーシアの郊外でマレー系の地元の人がやっている化粧品店に入ったことがあります。
そこにはハラールマークのない化粧品がずらずら並んでいて、あれ?っと思って聞いてみたのです。そしたら、
「売ってる私も、この店のオーナーもみんなムスリムだから、商品がハラールなのは当たり前でしょ」
と笑い飛ばされました。ああそうか、なるほど納得。ということで、ムスリムの人たちだけが集まるお店では、ハラールマークのあるなしに関わらず、そういった同胞同士の信頼で成り立っている部分もあるようです。
プロフィール:佐藤 実左世(Misayo Sato Athanasius)
DNA Two Ventures Sdn. Bhd.
(ディーエヌエー・トゥー・ヴェンチャーズ株式有限責任会社)代表者
Serunai Commerce Sdn. Bdn. Japan's Market Consultant
学校卒業と同時に大手化粧品企業へ入社。海外事業部を経て大手小売業へ転職。東南アジアのトップとしてマネージメントを担当。退社後に起業しマレーシアと日本とをつなぐ、貿易卸、ビジネスマッチングなどを行なう。
HDC (マレーシアハラール産業開発公社)が主導するGlobal Halal Data PoolはSerunai によって開発されており、Serunaiにて日本マーケット担当として活躍中。