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【フィリピン】<バナナ輸出不振続く、日本に関税撤廃要求へ> 昨年62%減の4億ドル、今年も2カ月間で2%減少 深刻な病害「新パナマ病」が新たな懸念要因に

 フィリピンにおける農産物輸出の主力であるバナナの輸出不振が続いている。バナナはココナツに次ぐ第2位の農産物輸出品目である。

 
国家統計庁(PSA)輸出統計速報値によると、2015年年間では前年比61.9%減の4億3,094万米ドルと非常に不振であった。年初2カ月間でも前年同期比2.2%減の8,665万米ドルと、極度に不振であった2015年を下回るペースで推移している。
 
 このところのバナナ輸出不振の要因は、エルニーニョ現象に伴う干ばつや「新パナマ病」による不作である。また、主要市場である日本での輸入関税の差による競争力低下も大きな要因であるとの指摘もある。

  日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)における日本でのフィリピン産通常バナナに対する関税規定は、10月~翌年3月が20%から18%への11回の毎年均等引き下げ、4~9月が10%から8%への同様な引き下げ(小さな種類に関しては10年間で関税撤廃) とされている。それに対し、インドネシア産バナナなどに対しては関税実質ゼロという措置が講じられ始めた。このような関税の差などにより、日本で90%以上のシェアを誇ってきたフィリピン産バナナが、インドネシア産、ベトナム産、コスタリカ産、モザンビーク産などに市場を奪われ始めたとのことである。

  このような状況を受けて、フィリピンバナナ生産者・輸出業者協会(PBGEA)などが、日本・フィリピン経済連携協定の見直しにおいて、フィリピン産通常バナナの関税撤廃もしくは引き下げ率拡大を要求している。PBGEAは「このまま手をこまねいていては、日本、韓国、中東などの既存市場を周辺国に奪われることになる」との危機感を強め、関税引き下げ要求だけでなく、一層の品質向上、生産効率化、ロジスティクス強化など競争力再強化にも動いている。また、エルニーニョ現象や深刻な病害「新パナマ病」対応策も論議されている。

 フィリピンのバナナ輸出額や総輸出に占める構成比は、エレクトロニクス製品などと比べるとそれほど大きくはないが、競争力の強い戦略的輸出品目と位置付けられてきただけに、このところの輸出不振は数字以上の打撃といえる。「新パナマ病」が更なる打撃となる可能性もあり、今後の動向が大いに注目される。

提供:WCLソリューションズ・フィリピン

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