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【フィリピン】<JICA、マニラ首都圏通勤鉄道整備を支援> 11月27日に2,420億円の借款貸付契約調印

 国際協力機構(JICA)は、11月27日、フィリピンの首都マニラにてフィリピン政府との間で「南北通勤鉄道事業(マロロス‐ツツバン)」を対象として2,419億9,100万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。

 この借款の金利は本体部分が年0.1%、コンサルティング・サービスが同0.01%、償還期間は40年(据置期間10年)、日本タイド方式である。事業実施機関はフィリピン運輸通信省、事業の完成予定時期は2021年12月(供与開始時をもって事業完成)。

 マニラ首都圏は、人口が1990年の792万人から2010年には1,185万人に増加し、人口密度が191.4人/haに達するなど、国全体の人口の13%、GDPの36%が一極集中する、国内最大の経済活動拠点となっている。また、マニラ首都圏に近接するブラカン、リサル、カビテ、ラグナの各州を加えた地域である「メガマニラ圏」についても、同期間に人口が1,239万人から2,302万人に急増しており、マニラ首都圏の発展に伴い、マニラ首都圏を上回るスピードで都市の規模が拡大している。

 メガマニラ圏の交通インフラとしては、マニラ首都圏内の環状道路と放射状道路のほか、マニラ首都圏と南北の郊外を結ぶ高速道路等が整備されており、過去にJICAも円借款による支援を行ってきた。一方で、鉄道網の整備は遅れており、現在ある3つの軽量高架鉄道の運行地域はマニラ首都圏内のみで、その総延長も50kmにとどまっている。また、フィリピン国鉄の通勤線がマニラ首都圏から南方に運行しているが、運行頻度が低い非電化路線となっている。これらの鉄道網は、マニラ首都圏及びメガマニラ圏の急激な発展にもかかわらず、過去10年間の延伸距離はわずか5kmにとどまっている。

 特に、マニラ首都圏の北方については、1991年にフィリピン国鉄の路線が廃線となって以降、未だに鉄道が整備されておらず、当該地域の郊外都市としての更なる発展の阻害要因となっている。この結果、マニラ首都圏においては、人口と経済活動の集中が続いており、交通渋滞が深刻化している。渋滞の深刻化は、円滑な貨物物流や人の移動のボトルネックとなり、渋滞による社会的費用は年間約2.4兆円に達すると試算される等、フィリピン経済の国際競争力を低下させる要因の一つとなっている。

 JICAは、メガマニラ圏の持続的な開発を支援するため、2014年に「マニラ首都圏の持続的な発展に向けた運輸交通ロードマップ」(インフラロードマップ)の作成を支援した。同インフラロードマップは、首都圏を南北に拡大して郊外都市との連結性を強化することによりマニラ首都圏への一極集中を緩和することを掲げており、そのためにマニラ首都圏とその南北郊外を結ぶ交通回廊として2本の新規鉄道路線の整備を提案している。

 本事業は、その一つとして、メガマニラ圏において、マニラ首都圏の北方のブラカン州の州都マロロス市からマニラ市ツツバンまでの通勤線区間(約38km)を整備することにより、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化とその深刻な交通渋滞の緩和を図り、もってマニラ首都圏の経済圏の拡大とその大気汚染の緩和に寄与することを目的としている。本事業に係る貸付資金は、高架、駅舎、車両基地等に係る土木工事、電気・機械システム及び車両の調達並びにコンサルティング・サービス(入札支援、施工監理等)費用等に充当される。また、本事業は本邦技術活用条件(STEP)が適用され、高架部分の施工技術や信号システム及び車両等に日本の技術の活用が期待される(15年11月27日の国際協力機構ニュースリリースより)。

提供:WCLソリューションズ・フィリピン

ここで紹介できなかったフィリピン経済情報は、 フィリピン経済・金融・投資情報 にてご確認いただけます。

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