ロシアで中国製ブルドーザーに対し反ダンピング関税を導入
ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギスが加盟するユーラシア経済同盟の調整機関であるユーラシア経済委員会(EEK)が、中国製ブルドーザーに対する反ダンピング関税の導入を決定、12月から最大52%の輸入関税が課されることになった。11月13日付でコメルサント紙が伝えた。
反ダンピング関税は今後5年間、250馬力未満の無限軌道式ブルドーザーに対して課される。税率はメーカーにより異なり、Tianjin Liugong(天津柳工)など大部分のメーカーに対しては44.65%、Shantui(山推工程機械股有限公司)は11.31%、Zoomlion Heavy Industry(中聯重科)は13.8%、Xuanhua Construction Machinery(河北宣化工程机械股分有限公司)は9.65%となる。徴収開始はEEKが決定文書を公表した11月12日から30日後。なお、これらの税率は本来の税率7.5%に加算されるため、税率は最大で52.15%になる。EEKによると、中国企業は1年後の措置の見直しを要求できるが、その際に「今後ダンピングの脅威がないこと」を証明する必要がある。
中国勢に対する反ダンピング関税の導入は、建機メーカー「チェリャビンスク・トラクター工場ウラルトラック」(国営ウラルワゴンザボド傘下)の申請により去年7月に審議が始まり、「プロムトラクトル」(「トラクター工場」傘下)、「ドルマシ」、カザフスタンの「ドルマシChTZ」も賛同した。なお、これら4社の2011~13年のユーラシア関税同盟(EAEC)圏内での無限軌道式ブルドーザー生産シェアは99%以上、2011~14年でも平均84%。その一方、2011年から2013年の間にEAESへの同製品の輸入台数は8.9%増加し、中国からの輸入は50%増加、輸入台数に占める中国製品の割合は46%から63.3%に増加した。中国製品の価格は他の海外勢(主に米キャタピラーとコマツ)と比べ著しく低かったという(2013年で平均26.2%安)。このため、EAECのメーカーの利益率はこの3年間で25%低下し、2012年以降は赤字に転じた。生産台数も24%減で、工場稼動率は10%低下、販売台数も16%減となった。
チェリャビンスク・トラクター工場ウラルトラックのボロパエフ副代表取締役は、ルーブル安で影響が弱まったとはいえ、中国勢は今年もダンピングを継続。ルーブル安は一時的なものなので、今後の状況を見据える必要があると述べる。農機メーカー団体「ロスアグロマシ」のコルチェボイ会長は「中国勢は価格を不当に低くすることで、西側・日本メーカーが価格で太刀打ちできなかった国産勢のシェアを奪ってしまった。中国勢がEAEC圏内で組立生産を始めたりしなければ(部品は今回の課税の対象外)、反ダンピング関税は国産メーカーの支援策として有効だろう」と指摘した。ちなみに、現在EEKではウクライナ製冶金製品(車輪・鋼管)、中国製トラック用タイヤへの反ダンピング関税導入も検討中である(11月12日付ベドモスチ紙)。(11/12)
(週刊ボストーク通信1117号より)
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