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ロシアのチャーター便ビジネス

 10月31日、ロシアの航空会社コガルィムアビアのチャーター機エアバスA321がエジプトで墜落し、乗客・乗組員合わせて224人が死亡した。エジプトはロシア人の人気旅行先の一つで、多数のロシア人旅行客が訪問している。ロシア人の海外旅行を支えるチャーター便ビジネスについて、11月5日付でフォーブス誌ロシア版が伝えた。

 ロシアではソ連崩壊により航空機の乗客数は減少したが(1990年9100万人、1992年6260万人、1999年2240万人)、このうち国際線の乗客数はむしろ増えていった(1992年400万人、1996年1000万人)。大半の路線は国営アエロフロートが運航していたが、旅行会社がアエロフロートから座席を確保するのは容易ではなく、アエロフロートの幹部とのコネクションを作れるかどうかが重要だった。やがて、アエロフロートから大量の座席をまとめて買い上げて旅行会社にばら売りする中間業者が現れた。

 アエロフロート以外の航空会社は、海外に運航するには定期便ではなくチャーター便を飛ばすしかなかった。チャーター便の草分けは、買い出しツアーの運び屋のための便で、1992年に旅行会社スペクトル・イントゥールとアラク航空がカイロへの運航を始めた時には、広告を出した初日に100席以上が売れたという。チャーター機による海外旅行客は増え続けたが、業者や便の数も増え、1990年代末には供給過剰からダンピングが起きるようになった。旅行会社は自力で売れる以上の席を確保し、期日間近のチケットはスーパーのレジなどで投げ売りされていた。機材は老朽化したソビエト時代の飛行機で、サービスの質は低く、乗客は満席で座れないまま飛ぶことすらあったという。

(中略)

 10月に倒産したトランスアエロは、1991年に設立されてチで運航しており、チャーター機での海外旅行はストレスがたまるというネガティブなイメージの浸透に一役買ったという。ャーター機の運航で成功した航空会社である。設立者のプレシャコフ氏は母親が国際航空委員会(旧ソ連諸国の航空行政調整機関)の委員長なので、政治力を持っていた。また、トランスアエロは攻撃的な経営で知られ、10社ほどの旅行会社を囲い込んで事業を拡大していった。

(中略)

 現在、チャーター便ビジネスの市場である国際線部門は、ルーブル安により大きく縮小しており、低空飛行が続いている。ロシアでは2012年に初めて国際線の乗客数が国内線を上回ったが、今年は再び逆転する見込みである(今年1~9月の国際線の乗客数は前年同期比15%減の3200万人で、特にチャーター便部門は40%縮小したと専門家は見ている)。チャーター便航空会社の多くは、運行数を減らすか保有機材を削減する等の対応を余儀なくされている。

 今回の墜落事件により、ロシアは11月6日、同国とエジプトを結ぶ全ての路線を当面は運航停止にすることを決定した。その結果、同日時点ではエジプトには約8万人のロシア人が滞在していたが、彼らは休暇を切り上げて順次帰国することになった。エジプトはロシア人に人気の旅行先で、2014年には観光目的の海外旅行者数全体の30%にあたる300万人が訪問した。エジプトの観光業界にとっても、ロシア人は重要な顧客であり、ルーブル相場の下落後はホテルが宿泊料金を15~20%値下げして旅行客数の維持に努めていた。市場関係者は、運航停止が新年の休暇まで長引けば、ロシアの観光業界は深刻な影響を受けるとみている(11月9日付ベドモスチ紙)。(11/9)

(週刊ボストーク通信1116号より)

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