【フィリピン】<OECD、フィリピン来年の成長率6.0%と予想> アセアン5カ国で最高、ベトナム5.9%、タイ3.1%
OECD開発センターの「東南アジア、中国、インド経済アウトルック」の最新版で、多くのOECD諸国において経済成長の停滞が続くと見込まれる中、新興アジア(東南アジア、中国、インド)では、成長の勢いがやや鈍化するものの、中長期的には堅牢に推移するとの見通しが公表された。このアウトルックは国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)とアジア開発銀行研究所(ADBI)の協力を得て作成されたものです。
新興アジアの実質成長率は2015年では平均6.5%、2016年から2020年は平均年率6.2%と予測されています。中国の経済成長率は鈍化が続くものと見込まれているが、インドはこの地域で最も高いレベルとなる高い成長率を維持するものと予測されている。
東南アジア諸国連合(アセアン)地域の成長率は、2015年は平均4.6%、2016年から2020年の平均年率は5.2%と予測されています。(アセアン5ヶ国の中で)フィリピンとベトナム及びCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)が、アセアン地域の成長を牽引すると予測されている。概して、個人消費が成長に大きく貢献する見込みである。
OECDによるアセアン5カ国の2016年GDP成長率は、フィリピン6.0%、ベトナム5.9%、インドネシア5.2%、マレーシア4.6%、タイ3.1%となっている。すなわち、フィリピンが最も高い成長になると予想している。ちなみに、中国は6.5%、インドは7.3%と予想されている。
アウトルックではこの堅調な成長を維持するために、中国の経済成長率の鈍化、米国の金融政策正常化、新興アジア諸国の生産性の伸びの鈍化といった課題を上手く乗り切ることが必要であるとの見方を示している。また、2016版のアウトルックでは、特別テーマとして、地域統合の強化が、堅調な成長を維持する上でいかに重要であるかについて、取り上げている。
様々な課題に対応するため、アセアン地域レベルと各国、およびアセアン地域とそのサブ地域の間で、コーディネーションを更に強化する必要がある。同様に、アセアン近隣経済圏との連携深化を進め、より"グローバルなアセアン"としての地域統合を促進することも重要である。単一の経済市場を実現するためには、さまざまなレベルでネットワークの強化が持続的成長のために不可欠であるとアウトルックは述べている。
持続可能で包括的な成長を妨げる、域内の格差を是正することも重要です。特に、カンボジア、ラオス、ミャンマーにおいて、貧困の長期化やインフラ開発の促進は大きな課題である。
関税の撤廃と非経済障壁の排除によって統合を促進し、需要の多い再生可能エネルギー取引を促進できるとも述べられている。例えば、メコン地域の水力発電における協力の促進は、アセアン地域全体へ貢献につながるものである。同様に、地域統合の促進により、民間企業は、国境を越えた業務を拡大し、域内を活躍のベースにするような企業、"アセアン企業"へと変貌する確かな機会を得ることができるとアウトルックは指摘している。
アウトルックの国別構造政策ノートでは、新しい開発戦略を策定するには、中小企業、金融、インフラ、労働市場、環境政策だけでなく、農業、教育、社会保障、観光の分野も含めた、包括的な改革パッケージを履行する必要があるとも指摘している(15年11月20日のOECD東京センター発表より)。
提供:WCLソリューションズ・フィリピン
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