【フィリピン】<東ソー、マブハイ・ビニール(MVC)子会社化完了>保有比率88%に、15日のMVC株価一時26%急騰
フィリピンの有力ソーダ製品製造・販売会社企業であるマブハイ・ビニ―ル・コーポレーション(マブハイ社、フィリピン証券取引所上場=PSE、本社:マニラ首都圏マカティ市)は、9月14日に、「マブハイ社の主要株主である東ソーが、マブハイ社株式約3億1,778万株(48.05%相当)を追加取得した」と発表した。
東ソーは約3億1,778万株のうち、約2億3,457万株(35.47%相当)をBDOユニバンクから、残りの約8,321万株(12.58%)は少数株主向け公開買い付け(TOB)によって取得した。1株当たり取得価格は1.70ペソであった。これらの売買は、9月14日にフィリピン証券取引所(PSE)において、ブロックセールというかたちで行われた。この追加取得により、東ソーのマブハイ社保有比率は87.97%に高まった。2015年6月末時点での保有比率は39.92%であった。
BDOユニバンクからの追加取得は7月23日に合意され既に報道済みであったが、9月15日のマブハイ社株価は一時前日比26%高の2.40ペソまで急騰、終値も2.17ペソ(14%上昇)となった。
マブハイ社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業開始を決定した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い、生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきた。
マブハイ社の2014年年間の売上高は前年比3.3%増の14億5,184万ペソ、純利益は同8.4%増の7,903万ペソであった。2015年第1四半期(1月~3月)の売上高は前年同期比10.5%増の3億6,502万ペソ、純利益は同95.5%増の1,499万ペソと続伸基調となっている。
東ソーは、フィリピンに、80%出資のフィリピン・レジンズ・インダストリーズ(1994年設立、塩化ビニール樹脂等の製造・販売)、74.5%出資のトーソー・ポリビン(1998年設立、塩ビコンパウンド等の製造・販売)などの拠点を有しているが、フィリピンでの拠点拡充の一環として、2000年にマブハイ社に資本参加した。
三菱商事もマブハイ社に資本参加(2015年6月末で約6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給している。
なお、東ソーは2009年10月に、マブハイ社(当時出資比率:東ソー33.77%、BDO34.08%、三菱商事5.76%など)について、筆頭株主であるBDOから全株式及びその他の株主からTOB方式による株式の買取を決定した。しかし、地元企業のメトロ・アライアンス・ホールディングス(MAHEC)が、BDO保有のマブハイ社株式の議決権などはMAHECに帰属すると主張、マカティ地裁に提訴するに至った。
これを受けて、東ソーは、BDOとMAHEC間のマブハイ社株式所有権争議が解決されクレームがなくなるまで、BDO保有のマブハイ社株式取得を一時停止することを決定した。そして、マブハイ社子会社構想が現時点まで先送りされたという経緯がある。すなわち、今回6年越しの子会社化構想が実現したといえる(15年9月15日のフィリピン証券取引所回覧05080-2015号などより)。
提供:WCLソリューションズ・フィリピン
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