【マレーシア】リンギ安進行、外国人労働者大量流出の恐れ 建設業界では来年10万人喪失
【クアラルンプール】 この半年あまりの間に通貨リンギ安が急速に進行しており、為替差損による実質賃金の低下を嫌ったマレーシアで働く出稼ぎ外国人労働者が大量に流出する懸念が高まっている。
圧倒的に外国人に依存している家政婦以外にも、製造業や農園業、建設業などでインドネシア人やタイ人、バンクラデシュ人、ネパール人、ミャンマー人などの外国人労働者に依存しているが、リンギ建ての賃金が本国の通貨に換算すると目減りしており、マレーシアで働き続けることに嫌気をさしているという。
対ベトナム・ドンでは、以前は100 リンギ=7,000ドンだったが、現在は 5,300ドンま でリンギ安が進行している。100リンギ=40万ルピアだったインドネシア・ルピアも、現在 は33万ルピアとなっている。マレーシアで賃金が1,000リンギ程度だったフィリピン人家 政婦は急激なリンギ安に伴って大幅昇給を要求しており、ここ4カ月で30―40%も平均賃金 が上がっている。シンガポール・ドル高騰で同国では家政婦の賃金は1,500リンギ(500S ドル)になっており、賃上げ要求に応じなければ流出は避けられない状況だという。
マレーシア建設請負業者協会(MBAM)のマシュー・ティー会長は、不法労働の外国人を救済する「6P」プログラム(登録、合法化、恩赦、監督、取締り、本国送還)が2014年末で終了したことで、代わりの救済策が発表されない場合には10万人のインドネシア人建設労働者がマレーシアから去ることになると指摘。新人を育成して補填するにしても一人前にするのは2年ほどかかるため、深刻な人手不足が起きる可能性があると指摘している。
人的資源省の統計によると、2014年11月時点で外国人労働者は推定670万人で、華人人口に迫るほどの重要性を担っている。
(南洋商報、9月1日)
提供:アジアインフォネット
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