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【ブラジルコラム】ブラジル、インスタントラーメンの面白い話

世界即席麺協会(WINA)の資料によると、昨年度世界の即席麺は、中国を筆頭に1000億食を越え、正に民族、宗教を問わず世界の食に成長している。

ブラジルの食数は、約24億食であり世界第10位に位置する。一人当たりの食数は、未だ年間20食であるが(日本45食、中国34食)1965年台湾華僑が「MIOJO」ブランドで、別添スープ付き即席麺を発売し、丁度半世紀が経過する。

その後1972年味の素㈱が株式55パーセントを取得し、MIOJOブランドで販売継続していたが、1983年日清食品の強い申し出で、味の素:日清食品 各50パーセントの株式持ち合いで新たな即席麺合弁事業がスタートした。当時は、国民一人当たり3~4食の消費量であったものの、毎年5パーセント以上の市場拡大、消費拡大で今日の安定成長マーケットに成長している。

筆者は、1980年代から現地のマーケットを熟知しているので、ブラジルでの即席麺に関する逸話をご紹介したい。

1) 忘れられない「MIOJO」ブランド

台湾華僑は、台湾製の即席麺機械一式を輸入し、ブランドは、日本の明星食品の「MIOJO」を付け長年販売した経緯から、乾麺を含む全ての即席麺は、MIOJOと理解している消費者が多い。最初の市場に上市したブランドが半世紀経つ今でも強いのである。 従って1983年合弁後は、NISSHINブランドに併記した形で、MIOJOブランドを今でも袋麺に付けている。一製品に2ブランド(商標)は可笑しいと思いませんか?

2) ラーメンの表記

一般的に英語では、RAMENと書く。しかし、ポルトガル語でRAMENはラーメンと読まず、ハーメンと発音する事から当初からLAMENと書いている。この場合、ブラジル人は、日本語のラーメンと発音する。

3) 汁麺ラーメンの調理法と食べ方

日清味の素アリメントス社は、ラーメンタイプの袋麺、ヤキソバ、カップラーメンに加え、外食・徳用サイズの大型乾麺のみ(別添スープなし)を販売している。汁麺の調理法も製品に書いてあるものの、一般ブラジル人は、日本の消費の様に鍋で乾麺を茹で、最後に別添スープ或いは具材を追加して、汁麺で食べる習慣であるが、乾麺を茹でるまでは良いものの、麺を取り出し皿に乗せ、別添スープを振りかけて食べる人も多いと聞く。食べ方の実態が個人主義の強いブラジル人であるので、各自さまざまと言える。即席汁麺の消費実態を正確につかめないのである。

4) 合弁事業離婚

本年10月30日を以って、味の素、日清の合弁事業は解消し日清食品100パーセントの独資会社スタートと公表している。65パーセントのシェアを持つ現合弁会社であるが、競合NESTLEもあり、前途多難と見る意見もある。ブラジルの経済が減速化しているが、食品類は単価も安く、不景気と言え手の届く価格(汁麺一袋45円相当)であるので今後も即席麺の市場は伸びて行くと確信している。


sakai.pngLAPITA専任アドバイザー
酒井 芳彦
(前 味の素株式会社中南米本部長・理事)

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