【マレーシア】リンギ安、輸出産業に一定の恩恵=アナリストら 米ドル建て産業はダメージ
【クアラルンプール=マレーシア BIZ ナビ】 12 日の為替市場で1 米ドル=4.00 リンギ台を突破し17年来の安値となったことを受け、アナリストらは、ゴム製品や半導体、家具製造メーカーや海運業者などの輸出産業に一定の恩恵をもたらすと予想している。
アライアンスDBSリサーチは、ゴム製品産業では、トップ・グローブやスーパーマックス、ハルタレガ、カレックスなどが恩恵をうけると指摘。マレーシアのゴム手袋業者の世界シェアは拡大するとの見解を示した。
またホンリョン・バンク・インベストメントは、半導体産業に関して、米ドル高の影響で純利益が増加することが見込まれるが、米ドル建てで原材料を輸入しているため一部の利益は相殺されるとの見解を示した。
一方で、クナンガ・リサーチは、自動車メーカーや航空業者にはマイナス影響が出るとの見解を示した。自動車の輸入や部品を米ドルで購入していることから、特にUMWホールディングスやタンチョン・モーター・ホールディングスは打撃をうけると分析。一方でマツダ車販売を手掛けるベルジャヤ・オートは円安の恩恵を受け、2016年の純利益は5%増加するとの見解を示した。
航空業者に関しては、航空機や部品の資金調達を米ドルで行っていると指摘。またブレント石油の価格が前年比で13.88%下がっていることも航空業者にとり負担になることが見込まれている。エアアジアの負債の 80%は米ドル建となっている。
■リンギ安、輸出業者はヘッジを検討か■
マレーシアの輸出業者は米ドル建てで売り上げを得ていることから、リンギ安の恩恵を受けている。ただしリンギ安は一時的なものと見られていることから、現在の理想的な水準でヘッジすることで恩恵をさらに受けることができるという。先物などの金融商品を選ぶことで為替ヘッジを行うことが可能となる。
1998年1月7日、通貨リンギはアジア通貨危機の影響を受け1米ドル=4.88リンギの安 値を更新した。今回のリンギ安は政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB) を巡る問題や中国の人民元安が影響している。
提供:アジアインフォネット
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