【マレーシア】リンギ下落、ナジブ首相の1MDB疑惑で加速 ペッグ制導入以来最低の水準
【クアラルンプール】 巨額債務問題に揺れる1 マレーシア・デベロップメント(1MDB) の資金約7億米ドルがナジブ・ラザク首相の個人口座に振り込まれたとする米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を受け、通貨リンギは 6日午前、1米ドル 3.8098 リンギとなり0.8%の下落となった。ナジブ首相は報道について、否定する発言をしている。
アジア通貨危機を乗り越えるため、リンギはペッグ(固定相場)制の導入に伴い1998年 に1米ドル=3.8リンギで固定されていたが、現在の下落水準はペッグ制導入以来最低の水 準となっている。
ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の代表的株価指数FTSE KLCIも下落している。今年、通貨リンギはアジア域内で最も下落幅が大きい通貨となっている。
マラヤン・バンキング(メイバンク)の外国為替リサーチのアナリスト、サクティアンディ・ スパアト氏は、1MDBを巡る政治的なディベートが影響しており、ギリシャの経済危機など世界的な不透明感が高まる中で米ドル及び日本円への資金流入が見られると予想。国内での政治的な不透明感の高まりも影響し、リンギは更に下落する可能性があると指摘した。
ブレント石油価格の下落やコモディティ価格の下落の影響を受けて、通貨リンギは更に下落し、年末は1米ドル=3.85リンギ程度となると予想されている。また、マレーシアの株式を外国人投資家が手放す動きが広まっており、MIDFアマナ・インベストメント・バンクのリポートによると 2013年以降10 週連続で外国人投資家が売却した株が購入した株の額を上回った。
貿易統計にも影響がでており、貿易黒字は5 月、55 億 1,000 万リンギにまで減少した。 2014年 11月には 110億リンギの黒字となっていた。
中央銀行バンク・ネガラのゼティ・アクタル総裁は6月29日、リンギの下落は持続することはないとの予想を示し、国内経済のファンダメンタルズを反映したものではないとの考えを示した。
(ブルームバーグ、7月6日)
提供:アジアインフォネット
ここで紹介できなかったマレーシア経済情報は、 マレーシアBIZナビ にてご確認いただけます。