【フィリピン】カジノリゾート「ソレア」、第1四半期は赤字転落
フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そこでは、日本のユニバーサルエンターテインメント・グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。
その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。このブルームベリーによる大型カジノ・リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)は2013年3月に開業した。
このブルームベリーが、このほど、2015年第1四半期(1月~3月)の事業報告書を提出した。それによると、ブルームベリーの今第1四半期の総収入は前年同期比 14.7%増の84億6,265万ペソへと増加した。そのうち、カジノ事業収入は同14.6%増の80億9,024万ペソで総収入の95.7%を占めた。昨年11月に、ソレアの新棟「スカイタワー」(312室)がオープンしたこともあって二桁増収となった。、
しかし、総費用は同42%増の62億0,661万ペソと、増収率を大幅に上回る伸びとなった。新棟「スカイタワー」開業などで、営業費用が同32.1%増の57億5,284万ペソへ、金利費用が同560.1%増(約6.6倍)の4億2,674万ペソへと急増した。この結果、最終損益は5億3,305万ペソの赤字に転落、前年同期の14億6,121万ペソの黒字から急悪化した。これを受けて、フィリピン株式市場でのブルームベリーの株価も大幅調整という動きとなっている。
今第1四半期は、新棟「スカイタワー」関連費用などが響き赤字となったが、ブルームベリーはカジノ事業の将来性は非常に高いとみており、今後も積極的な投資を行う予定である。ブルームベリーの韓国子会社であるソレア・コリアは、韓国済州島のT.H.E.ホテル&ベガスカジノを所有・運営するゴールデン&ラグジュアリー社 (G&L)の主要株主との間で、G&L株式を最大92%まで取得することで合意している。この株式取得が完了すると、ブルームベリーは、済州島にカジノ・リゾートを所有することになる。
また、ソレア・コリアは今年1月に、仁川国際空港近くのMUUI(舞依)島の土地12.2ヘクタールを取得することで地主との間で合意したが、このほど 取得合意書に正式に署名した。この土地は仁川経済自由区域であり、ブルームベリーは大規模娯楽施設を開発する方針である。
なお、エンリケ・ラソン氏は、昨年、ソレアを日本でも開業することを視野に入れていると表明している。ただし、最終決定や進出時期などは、 日本でのカジノ法案(複合リゾート施設の整備を政府に促す法案)の動向を見極めてから検討するとも強調した(ブルームベリー・リゾーツの15年第1四半期報告書などより)。
提供:WCLソリューションズ・フィリピン
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