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【ミャンマーコラム】アジア徒然草:「ミャンマーの今」 その1

今回は、2013年5月にミャンマーに設立したJTB・Polestar社の駐在員より、現地の生の声をお届けします。

最初にミャンマーを取り巻く環境ですが、中国、タイなどこれまで日本企業の海外進出を牽引してきた国々が賃金上昇や政治不安などのリスク要因を抱える昨今、ミャンマーは民政化、アメリカからの経済制裁解除を経て、ラストフロンティアとして注目を集めています。

ミャンマーにおける事業展開のメリットは、安価な労働力、豊富な人口、親日国、日本の官民あげての協力体制などが挙げられます。これまでChina+1の1国として役割を果たしてきたベトナムよりも労働賃金はさらに低く、人口5千万人の人口を擁し、生産年齢人口の増加に支えられた経済発展が今後も見込まれます。また歴史的に日本との関係が深いミャンマーは非常に親日的で、日本製商品やサービスへの信頼度は極めて高いです。さらに、日本政府が長年ODA等で多くの援助を行い、ミャンマーへの経済協力を継続的に行っていることもメリットの一つです。中国への依存度が高い同国経済を、日緬両国の関係強化により、双方にとってより有益な経済環境に発展させるべく、官民一体となってミャンマーに働きかけ、ビジネス環境の整備が進められています。

他方、課題もあり、外資企業への規制、国際レベルでの人材不足、インフラの未整備、などがあるのも事実です。外資企業の参入障壁については徐々に規制緩和されてきているものの、まだ様々な障害があります。人材については、ミャンマー人は一般的に親日的で勤勉であるものの、国際的レベルで仕事ができる人材は、まだまだ不足しています。また社会インフラに関しても各種整備が遅れている側面もあります。以下一例をご紹介します。 

【電力事情】

電力の70%が水力発電の為、乾季(ヤンゴンの場合は11月から5月初旬)の後半になると停電が頻繁に発生します。また、雨季でも激しい落雷や、むき出しになった電線の漏電に伴う停電も発生します。現在、日本のODAなどで電線等の補強工事が徐々に行われ、改善が進みつつありますが、その工事自体による停電もあり、大規模施設の多くは自家発電設備を設置しています。

【通信事情】

停電のため、入居しているオーナー管理の下、自家発電を稼働する機会が多いですが、その電力だけでは十分ではありません。また、大雨の時は降雨障害により携帯電話が通じにくい状況が発生し、回線が寸断されることもあります。現在、各種補強工事による改善もみられますが、時間を要しています。

【交通事情】

未整備な道路環境に加え、中古車の輸入により車の台数が急増し、深刻な交通渋滞を招いています。

次に、ヤンゴンにおける日系企業の現状についてご紹介します。

ここ数年、ヤンゴンでは大型商業施設、ホテル、コンドミニアム、高架橋と建設ラッシュに沸いています。また、ティラワ経済特区に代表されるような工業団地の開発も進んでおり、建設業や不動産業の進出が非常に活発で、従来の安価で勤勉な労働力を求める縫製業等軽工業の進出が多かった日系企業進出から潮流が変わりつつあります。一方、電力等のインフラ整備が遅れているため、電力会社や通信事業会社などの進出も活発になっています。ミャンマーの民主化に伴い、日系企業の進出が加速し、投資案件も増加傾向にあります。近隣のカンボジアへの日系企業進出状況と比較をしても、その急速な増加は顕著で、近年は、日系企業の進出急増に伴い、日系企業をサポートする会社の進出も増えています。現在、ヤンゴン日本人商工会議所の会員企業数は200社を超えており、特に流通・サービス部会および建設部会の増加が著しい状況です。

【日本人商工会議所会員企業数の推移】 

ミャンマー 2010年 12月末  50社  →  2014年12月末 約200社 (約4倍)

カンボジア 2010年 12月末  47社  →  2014年12月末 約150社(約3倍)


次回は、ミャンマーにおける生活環境・商習慣などについてご紹介します。

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