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【ブラジルコラム】安定政権と和食の普及

 ブラジル共和国は、日本、米国より進んで電子投票システムを取り入れている為、即日開票で選挙結果が出る。2015年1月以降の政権(大統領)を決める直接選挙が、昨10月5日行われたが、与党党首、各野党党首共に過半数の50パーセント以上の得票結果に至らなかった為、決戦投票が、10月26日行われ、現政権のジルマ・ルセフ大統領(労働党=PT)が対抗馬の野党・社会民主党(ネーベス氏)に僅か3ポイントの差で勝利し、再選された。

これで、労働党は、前大統領のルーラ大統領(二期8年)に継ぎ2018年まで、計16年労働党が政権を担う事になる。選挙公約は、継続して貧困撲滅政策(ボルサ・ファミリアの継続)、インフレ抑制、政治改革、工業化の推進など2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを控え、世界に誇る新興国として政権の安定と継続した経済の発展を期待される政権である。

JTB LAPITA事業の一環として、継続してブラジルに於ける和食・日本酒・お茶などの普及啓蒙を図る文化活動に専念しているが、この9月(特定非営利活動法人)日本食海外普及推進機構(JRO)が南米に於ける支部を立ち上げる企画・事業推進のプロジェクトを同機構から請け負い、JTBグループの現地関連会社であるALATUR社、QUICKLY TRAVEL社の支援を得て、サンパウロ市内の高級ホテル内で、支部の発足を兼ね和食のシンポジウムを開催した。

同機構の活動は、日本の食の魅力を世界に伝え、日本食・食材の海外市場開拓に寄与する目的であり、世界各国で事業展開している日本食レストランをサポートし、和食のメニュー紹介、食の歴史、和食調理人の育成に努めている。

発起を兼ねた今回のシンポジウムには、農林水産省の全面的協力を得て、ゲストスピーカーとして新井水産庁魚政課長が「寿司の由来と歴史」の基調講演をし、その後明治大学の青井倫一教授(JRO理事)が中心となって、サンパウロで活躍する食品会社役員、料理研究家、和食オーナーシェフなどを囲みパネルディスカッションを行った。約150名の聴講者は、初めて聞く寿司の歴史に耳を傾け、講演終了後は和食の実演会に参加し、美味しく健康な和食を堪能した。

現在ブラジルには、約1000軒の日本食提供レストランがあると言われ、サンパウロ市内には約700~800軒のレストランがあると言われている。

昨年12月、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、世界の各国、各地で和食の普及、日本食レストランの新規開店が続いていると聞くが、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックに向け、ブラジルでの日本食の普及は全国的に継続・拡大して行くと信じている。

ジルマ政権が更に継続する事で、更なる中間層の拡大、所得の向上が図れる事となり、食べる事への興味が強いブラジル庶民は、日本食の美味さ、手軽さ、健康志向性を同時に理解して行く事だろう。


sakai.pngLAPITA専任アドバイザー
酒井 芳彦
(前 味の素株式会社中南米本部長・理事)

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