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【ブラジルコラム】健康志向高まるブラジル食品市場

第20回のワールドカップは、ドイツが優勝しブラジルはスーパースターの怪我などの理由も重なり準決戦以降は大敗となり今回は世界4位に終わった。開催前のワールドカップ開催に反対する

大衆のデモ、サッカー競技場を含むインフラの未整備etcで競技そのものが安全に実行されるか世界が注目していたが、結果として大きな問題・事故もなく無事終了した。この試合を応援する為世界各国から一千万人(平年の来泊数は7百万)が駆けつけ、12都市で開催したワールドカップの経済効果が大きく出ている。受入れ側のブラジルのホスピタリティが高かった事もあり、外国観光客のブラジルファンが増大している。2年後に予定するリオデジャネイロのオリンピックに向け、ブラジルはまだまだ「それ行けドンドン」基調で、世紀の祭典に向け順調である。

政治的安定に加え、継続的に実施している貧困対策の効果で中間層が増大している事、失業率が低下し全国の所得水準が10年前の4倍近くに上昇している事から、国民一人当たりのGDPは、US$で11,000ドル以上に達している。

所得が増え、自由に使える金が出来た事で、「食を楽しむブラジル人」の肥満率(BMI)が、2006年は43パーセントであったものが、2012年は51パーセントに急伸している。その背景には主婦の家庭料理で満足していた人々が、食品工業、量販店流通化の発展に乗り加工食品を摂取する機会が増えた事、ハンバーガー、ポテトフライなどを提供するファミレスが増えそこを利用する機会が増えて、使用している油の摂取量(脂質の高い高カロリー)が自然に増えている事、外食の機会が増えている事など生活習慣病が増大していると言える。

外食産業が、毎年二桁成長しているので、如何に所得が増え、利用回数、客の利用金額が増えているか想像が付くが肥満問題は、今やブラジルの大きな社会問題の一つとなっている。

LAPITA独自の調査(2013年9月)によれば、ヘルシーな料理は、和食(日本食)がNO1でダントツの評価である。これはブラジルに限らず世界どこでも和食の評価が高いが、好きな理由として、①健康に良い(75パーセント)②美味しい味(70パーセント)③流行している(33パーセント)の回答である。そもそも日系人が1.5百万人いる国であるので、日本食は以前より普及していたが、最近は特に各種の日本食レストランが開店し、日本からの外食投資も増え始めている。寿司屋、手巻寿司専門店(テマケリア)、カレー店、ラーメン店、とんかつ屋、居酒屋、牛丼チェーン、テンプラ専門店など一般日本食レストランに加え、専門店化しているのも一つの傾向である。「ニッチビジネス」が海外展開する策として活発化しているが、未だブラジル市場で、隙間ビジネスを展開する、或いはこれらの市場に日本から和食素材、日本茶、清酒などの酒類を輸出する機会が多々あろうと考える。

 最近キリンHDが、現法のスキンカリオール社(ビール製造販売)を通じ、新コンセプト(「トクホ」の技術を活用した植物繊維が入っている炭酸飲料)「fibz」を発売した。嗜好的には、ブラジル人の好むコーラ味とガラナ味の2タイプの販売と聞くが、これらも健康志向にフォーカスを当てた新製品開発であろう。

 最後に肥満の解消であるが、筆者もメタボと診断されているので他人事でないが、昔から「腹八分」と言う格言がある通り、食べる量のコントロール、栄養バランスの取れた食事、規則正しい食事時間を守り、日常の運動を行うしかない。 ブラジルでは、フィットネスクラブに通うビジネスマン(ウーマン)が多く、クラブの数では世界三位、会員数世界七位で大変流行している。


sakai.pngLAPITA専任アドバイザー
酒井 芳彦
(前 味の素株式会社中南米本部長・理事)

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