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【ブラジルコラム】日本に無いレストランシステム ~ポルキロ~(酒井 芳彦)

人口約2億人のブラジルは、BRICSの先頭を走る資源国と言われているが、中国を震源とした鉄鉱石などの輸出減少(価格減、数量減)で2013年の貿易収支は大幅に悪化している。しかしながら内需が日本と同じレベルでGDPの60パーセントを超える消費文化大国である。

ご周知の通り、ブラジルは多民族混合社会であるので、和洋中など何でも世界の料理を楽しむ事が出来る。人間の三欲の一つである「食欲」は大変旺盛で、牛肉の消費は年間36Kg(一日当たり平均100g)、その他豚肉の消費もハム・ソーセージの製品としてほぼ同じ程度の消費量である。

外食産業は、この10年二桁成長しており特に世界に無い新しいレストランサービス「ポル・キロ」(グラム当たりの秤り売り)をご紹介しよう。

日本、世界でもビュフェ、或いはバイキングスタイルのサービスはあるが、これは一食(一回)当たりの固定料金を支払い、量の制限がなく自分の好きな物を選択し食べるシステムであるが、兎角欲張りな者は沢山皿に盛り、食べ残してしまい綺麗に食べ切らない者が多々いる。

ブラジルは、大手の会社・工場は自社の社員食堂を備えているが、大半の会社は従業員に食券を配給し、従業員が好きなレストラン・カフェテリアで昼食、夜食を取っている。このポル・キロレストランは、この10年の間に生まれた新たなシステムとサービスの店であり安い価格と美味しく豊富なメニュー、そして時間を効率的に使うビジネスマンなどは、クイックランチの場所として大変好評を得てる。

食材(肉、魚、野菜、果物など)が豊富で安価なブラジルだから出来るシステムであろう。例えば牛肉と野菜をグラム当たり大幅な価格差がある日本では、到底考えられない。

「ポル・キロ」の意味は、自分が食べたいメニュー(野菜サラダ、牛肉ステーキ、鳥料理、魚料理、日本の巻寿司、スパゲッティ、米飯、伝統料理のフェジョン豆料理、パンなど)自分の好み、胃袋の空きを考えながら好きなだけ大皿に取り、それを持ってキャッシャーで精算し仲間の居るテーブルで時間の制限なく食べるシステムである。勿論コーヒー、清涼飲料など別売りであるが、一般のレストランで食べるより安く、オーダーをする必要もなく懐の財布の中身次第でその量を加減出来る。最近ブラジルのレストランのメニュー価格が上昇しておりビジネスマンが軽く入れる、女性同士でも気楽に入れ、ダイエットしている女性も自分で量を加減出来るのがこの「ポル・キロ」レストランである。日本では食物の残渣の量が社会的に大きな問題となっているが、このシステムは資源節約型の新たなビジネスである。

独立店が多く、未だチェーン展開している会社は無い。日本からこのビジネスへ新規投資をしている会社は未だ存在しない。新たなビジネスチャンスであり、ブラジルのレストランノウハウを会得する大きなチャンスでもある。


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LAPITA専任アドバイザー
酒井 芳彦
(前 味の素株式会社中南米本部長・理事)

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