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【ロシアレポート】日本とロシアの企業が直接対話 札幌での「ロシアオンラインセミナー」レポート

ラピタでは、ロシア進出における各分野における知見と経験を有する各企業・団体・機関で構成した委員会と後援団体・組織を背景に、進出リスクを最小化しながらマッチングをサポートいたします。

「JAPAN EXPO IN RUSSIA」は、JAPAN EXPO IN RUSSIA実行委員会が主体となり、日露企業を結ぶ商談会として2011年よりモスクワにて開催されています。出展対象は食品、化粧品、サプリメント、住宅設備、文化関連等に渡り、二回目の開催となった2012年は覚書5件の調印を実現しました。

6月17日、「ロシアオンラインセミナー」と題して、本年11月にモスクワで開催される「JAPAN EXPO IN RUSSIA2013」の説明並びにオポラロシア(ロシア中小企業連盟)とのオンライン会議を実施いたしました。本セミナーでは、モスクワのロシア中小企業家組織連盟と札幌の会場をオンラインで繋ぎ、ロシアにおける寒冷地技術、食品等の市場ニーズ等について直接の対話をしました。

JAPAN EXPO IN RUSSIA2013の実行委員でもある、株式会社FECマネージメントの代表取締役 丹治宏剛氏に「ロシアオンラインセミナー」のレポートをしていただきました。


報告:株式会社FECマネージメント 代表取締役 丹治宏剛

Online Seminar Sapporo-Moscow(13).JPG

 2013年6月17日月曜日午前、札幌経済センタービルの最上階にあるAホールでは、音響・映像のプロたちが機材の接続やそのチェック作業に追われていた。「JAPAN EXPO IN RUSSIA」実行委員らと札幌商工会議所の担当者、そしてコーディネーター役だった私は会場に来るとすぐに即席で会場前方にミーティングスペースを作り、手早く打ち合わせを始めた。OPORAロシア(全ロシア中小企業家組織連盟)東京支部のポノマリョフ・ドミトリー氏らも同席した。

 今日のイベントは画期的なものだった。札幌市内各所ではロシア関連を含め数々のセミナーが連日行われているが、モスクワとスカイプを繋いで会議を行うという試みは、個別企業ごとのテレビ電話会議を除けば前代未聞なのである。

 日本とモスクワとの間には5時間の時差があるためロシア側と接続できるのは早くても午後2時だ。イベント開始は午後3時だからほとんど時間がない。その時点でうまくいかないとなってもリカバーするのは難しいことが予想された。打ち合わせはスムーズに終了しそれぞれが自分の役に入っていった。

 午後2時過ぎからドミトリー氏はすでに壇上でモスクワとのスカイプ接続準備と、モスクワ側参加者の所属組織名や肩書、名前、またどこに座る予定か、などを確認した。現地ではすでに夏休みに入っている人もおり、突然のキャンセルやメンバーの変更もあったのだ。モスクワ側来場者リストを日本側参加者に配布するため、ワードに打ち込んでいく。本当にラストミニッツの作業だ。あり得る変更を見越し、配布資料はあらかじめ準備してはいなかった。すべて数日前までには完璧に準備する日本式とは違う。

 午後2時半頃日本側通訳が到着する。今回はロシア側に同席しているロシア人通訳が日本語からロシア語に訳し、こちらにいる日本人通訳はロシアからの発言を日本語にする、という2人の通訳を介するものだ。ちなみに私が出るセミナーで自分以外の通訳がつくというのは初めての経験だった。

 申込みが入っていた人数は約50人と同類のセミナーと比べるとやや少なめではあった。しかし参加予定者の企業名や団体名を見ると、そのほとんどが実際にロシアビジネスを行っている企業や、これから行いたいと思っている企業であったため、ひとまず私は安心した。

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 午後3時から数分遅れてイベントは開始した。予定通りJAPAN EXPO IN RUSSIA事業のこれまでの取り組みやOPORAロシアの日本企業へのサポート体制についてなど簡単に説明され、流れるようにロシアとの会議に入っていった。すでにモスクワとは繋がっていたので、画面を前方のスクリーンに切り替えるとすぐにロシアの会場が大きく映し出される。そこには7人のロシア人が座っていて、Tシャツやポロシャツなどすっかり夏の装いだ。夏休み気分になるのもうなずけた。

 ドミトリー氏を中心に、想定していたいくつかの質問をそれぞれの方に答えてもらう形で話は進んだ。私もいくつか北海道の現状や、懸念事項、質問などを投げかけた。今回のメインテーマは食品、化粧品と寒冷地技術の各産業であったが、来場者側からの質問が出なかったらイベントは成立しないためそのためいくつかの質問を準備しておいた。しかし幸いにもその心配は無駄に終わり、化粧品の中心価格帯、WTO加盟後のメリット、日本製の除雪機械が市場にあるか、サプリメントの市場動向など、来場者からも多くの質問が出た。モスクワ側の製品・商品に対する関心が大変高いことは感じられた。しかし、特に使用期限のある商品の輸送や、金額といった現実的な問題に対しては、あまり解決策がない、といった雰囲気の会話に終始した感も残った。

Online Seminar Sapporo-Moscow(27).JPGのサムネイル画像 オンラインセミナー終了後、日本側来場者で懇親会を持ったが、このように生の声を聞くことができたのは大変貴重だとの声が多く聞かれた。私は個別企業の為に同様のスカイプミーティングをセッティングすることはあるが、確かに、ふつうはロシアに出張に行かない限り、ロシア人ビジネスマンと直接話をする機会は作れない。この会議で実質的な実りを得た参加者はいなかったかもしれないが、通常のセミナーとは違い、ロシア人を少しでも身近に感じ、アクションを起こそうと思えばすぐにでも前に進めることを実感したひとも多かったのではないだろうか。

  今回のこのイベントは今年秋にモスクワで開かれるジャパンエキスポインロシアのプレイベント的な位置付けだ。これを機に、何かとロシア極東に目が向きがちな北海道企業がモスクワに関心を持ち、新たな可能性について考える契機となったことを、私は嬉しく思っている。

 


ロシアオンラインセミナー

日 時: 平成25年6月17日(月)15:00~17:00
会 場: 北海道経済センター 8階 Aホール
主 催: JAPAN EXPO IN RUSSIA2013実行委員会
共 催: OPORAロシア(ロシア中小企業家組織連盟)東京事務所
協 力: 札幌商工会議所 (株)FECマネージメント
後 援: 一般社団法人北海道商工会議所連合会

【内容】
JAPAN EXPO IN RUSSIA事業これまでの取り組みとJAPAN EXPO IN RUSSIA2013の概要
オポラ ロシアより日本企業へのサポート体制のご案内
札幌⇔OPORAロシアモスクワ本部とのオンライン会議
 ・寒冷地技術のモスクワでの可能性
 ・食材、健康食品市場動向と今後の可能性 など
LAPITA(日本企業海外進出・会員制サポートプログラム)ご案内

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