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【マレーシアコラムVol.5】民族の分だけ祝日がある!? "お正月"に見るマレーシアのふところの深さ

国内外の独自のパートナーシップの構築により、日本企業のグローバルビジネスをJTBグループがお手伝いするラピタでは、各地域の専門家の方々とのネットワークにて海外展開をサポートしております。
今回は、DNA Two Ventures代表の佐藤実左世氏によるコラムの第5弾をお届けします。


日本では、お正月は年に1回だけ。
ところが、マレーシアには年に4回も"お正月"があります。
これも、多民族で構成されているマレーシアらしいカルチャーの一つといっていいでしょう。

日本のお正月は、新しい年に訪れる年神様をお迎えし、多くの福を授かることを願うもので、しめ縄や鏡餅、おせちなどの風習もここからきています。お正月に家族や親戚が一堂に会する人もいるのではないでしょうか。

マレーシアでも同様に、"お正月"には、多くの人たちがふるさとに戻ります。しかし、その時期はバラバラ。4回ある"お正月"は、それぞれの宗教や民族によって異なるのです。


多民族国家のマレーシアは、人口の約60%がマレー系、約25%がチャイニーズ系、そして約10%がインド系で構成されています。そのほか、マレー半島の原住民、オラン・アスリや、ボルネオ島のカダザン族、イバン族など、少数民族も各地にいます。彼らはみな、それぞれの民族ごとに、文化や宗教も異なりますが、西暦の1月1日は全員に等しく"お正月"が訪れます。いわゆる「ニューイヤーホリデー」ですね。

12月31日の深夜にはカウントダウンが行われ、日付が変わると同時に花火が上がってお祝いムード一色です。しかし、祝日は元旦だけ。2日からは通常通りの生活に戻る人がほとんどです。
では、残りの"お正月"はどんな感じなのでしょうか。

MalaysiaColumnVol5.pngのサムネイル画像


まず、マレーシアで一番多いマレー系の人たちを見てみましょう。彼らのほとんどはイスラム教徒、いわゆるムスリムです。ムスリムにとっての"お正月"は、断食(ラマダン)明けを祝う「ハリラヤ・プアサ」です。

カレンダー上では休日は2日間ですが、ほとんどのマレー系の人たちは1週間近く休みを取って、自分たちのふるさとへ帰省します。


なにせ、1か月近く続いた断食明けの"お正月"ですから、お祝いムードのエネルギーも半端ではありません。日本のお盆の帰省ラッシュ同様、高速道路は大渋滞し、クアラルンプール市内は明らかに人の数が少なくなります。

(*写真:ハリラヤを祝う為、豪華なテーブルセットアップをしたレストラン)


一方、チャイニーズ系の"お正月"は、日本の旧正月にあたります。「チャイニーズ・ニューイヤー」またはCNYともいわれ、爆竹を鳴らしたり、赤色の派手な飾りつけをしたりして、ファミリーで集まり新年の訪れを祝います。

そして最後はインド系の"お正月"である「ディパパリ」です。別名、光の祭りとも呼ばれ、マレーシア中のヒンドゥー教徒が各家庭でランタンを灯し、ショッピングセンターの床などに、着色された米で描くコーラムと呼ばれるライスアートが展示されます。


これら4つの"お正月"はすべてパブリックホリデーと呼ばれる国の祝日です。ただし、1月1日以外の3つの"お正月"は、それぞれ西暦とは異なる暦を使用しているため、毎年日付が変わります。

私がマレーシアにいてすばらしいなぁと思うのは、それぞれの"お正月"を尊重し、お互いに助け合って、仕事や役割を融通し合うことです。

例えば、デパートはお正月だからといってお店を閉めるわけにはいきません。しかし、チャイニーズ・ニューイヤーでチャイニーズ系が休暇を取るときは、マレー系やインド系が働いてカバーします。同様に、ハリラヤ・プアサでは、チャイニーズ系とインド系が、ディパパリでは、マレー系とチャイニーズ系が、それぞれお互いをカバーするのです。

ちなみに、これらの"お正月"に互いを招待し合うこともあります。チャイニーズ系の友だちに招待されたマレー系の人たちは、当然、豚肉などは食べられません。しかし、ハラール云々ではなく、自分が食べられるものだけいただいて、その場の雰囲気を共有します。同じように、ハリラヤ・プアサの期間は、チャイニーズ系の人たちもムスリムのような緑の服や、マレーシアの民族衣装をあえて着ますし、ディパパリの期間はみんなで額の真ん中に印をつけて、インドの人たちと喜びを分かち合ったりするのです。


今、マレーシア政府は、経済の低迷や首相の金銭スキャンダルなどもあり、国を一つにまとめようとやっきになって「ワンマレーシア」(1つのマレーシア)などとスローガンを掲げています。ところが、庶民のほうはとっくにワンマレーシアで日々を送っているんですね。

自分たちの文化をしっかり守りつつ、自分と異なる文化や風習も尊重して、ともに分かち合う。マレーシアの人たちの生き方は、グローバル社会にとって本当に重要なことなのではと思っています。


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プロフィール:佐藤 実左世(Misayo Sato Athanasius)


DNA Two VenturesSdn. Bhd.
(ディーエヌエー・トゥー・ヴェンチャーズ株式有限責任会社)代表者
Serunai Commerce Sdn. Bdn. Japan's Market Consultant 



学校卒業と同時に大手化粧品企業へ入社。海外事業部を経て大手小売業へ転職。東南アジアのトップとしてマネージメントを担当。退社後に起業しマレーシアと日本とをつなぐ、貿易卸、ビジネスマッチングなどを行なう。


HDC (マレーシアハラール産業開発公社)が主導するGlobal Halal Data PoolはSerunai によって開発されており、Serunaiにて日本マーケット担当として活躍中。


※本サイトに掲載のレポートやコラム及びリンク先などの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、弊社の公式見解をあらわすものではありません。

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