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【JTB海外駐在員コラム】ミャンマー編 ~ミャンマー人の心のよりどころ 仏教~

国内外の独自のパートナーシップの構築により日本企業のグローバルビジネスをJTBグループがお手伝いするラピタより、海外に駐在するJTBの社員による現地の最新情報をご提供いたします。


今回は、ミャンマーからのコラムをお届けします。


日本のみなさま、ミンガラバー!今回はミャンマーから現地情報をお届けいたします。
ミャンマーというと、どんなイメージをお持ちでしょうか?


東南アジア最後のフロンティアと言われ、経済的・政治的にも注目を集める国ですが、
正確にどこにあるかわからない。。。あービルマの竪琴でしょ?という方が大半なのではないでしょうか。
正直私もヤンゴン駐在を拝命するまではその程度でした。むしろ、ビルマの竪琴も観たことがありませんでした。
長らくの軍事政権でアウン・サン・スー・チーさんを軟禁し、その軍事政権に反対するデモの最中、
日本人ジャーナリストの方が亡くなったりというニュースのイメージで、少し怖い国というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし実際に来てみて、そのイメージは完全に払しょくされました。
人々はフレンドリーですし(もちろん例外はどこにでもいますが)、治安も日本より良いと言っても過言ではありません。
よく海外で聞くような、お釣りをごまかされたとか、強盗などの危ない目に遭うなどといったことは皆無ですし、
あいさつをするとにっこり微笑み返してくれ、道を聞くと誰もが丁寧に教えてくれます。
そんなミャンマー人の気質を形作る根底に流れているのは、国民の約90%が信仰しているとされる仏教です。
ミャンマーの人口は現在約5,200万人で、約4,700万人の仏教徒がおり、その中に約800万人の僧侶がいると言われています。


【上座部仏教】

同じ仏教とは言え、中国・日本などで広まった大乗仏教と異なり、ミャンマーで信じられているのは上座部仏教という出家・修行を伴う厳しいものです。
ミャンマー人の仏教徒は、男性であれば一生のうちに必ず一度は若いうちに出家をしますし、女性が出家することも珍しくはありません。
街ですごいショートヘアーの女性を見かけると、出家帰りなんだなとわかります。
(ご存知の通り、出家する際には男女問わず坊主になります。出家中は1日6時間の瞑想をします。)
上座部仏教では輪廻転生が信じられ、現世で戒を犯すような行為をした場合は、来世以降に受け継がれるという考えがあります。
(ひどければ来世は犬にされてしまったりします。)
要するに「因果応報」ということですね。
その考えが家庭教育、出家などを通して周知されており、悪いことができない=治安が良いということにつながるのだと思います。


【パゴダへの寄付】

黄金色に輝く大きなパゴダ(仏塔)の写真を目にされたことはありますでしょうか。
ヤンゴンの中心部に位置するシュエダゴンパゴダはミャンマー人の心のよりどころで、観光客はもちろん、通年参拝者が絶えません。
中心部にそびえたつ黄金の塔は、高さ99.4m、基底部の周囲は433mの大きさで、使われている金のプレートは8688枚と言われており、塔頂部には76カラットのダイヤモンド、その他総計5,000個以上のダイヤモンド、ルビーやヒスイなどが使われています。
こんな豪華なものを建てて、維持するだけでも大変な資金が必要と思われますが、これらはすべて信心深いミャンマーの仏教徒の寄進でまかなわれています。
もちろん各人の収入状況によりますが、ヤンゴン近辺に住む人々は必ず月に一回はシュエダゴンパゴダを訪れ、彼らの収入では決して安くない額を寄付します。
ヤンゴンの一般的な家庭のローカルスタッフの話では、日常のお参りで約5千チャット、ダディンジュと呼ばれる10月の満月のお祭りなどイベント事の際には(年間3回程)、家族で15万チャットも寄付するとのことです。(1円=約12チャット 2016年10月現在)
ミャンマー人の平均月収がだいたい20万チャットと言われていますので、お参りに行くたびに月収の1/40、年間3回のイベント時には月収の3/4も寄付していることになります。
(あくまで一例です。)
これがヤンゴンの仏教徒約500万人分集まると、すごい額ですよね。
世界三大仏教遺跡の一つで人気の観光地バガンでは信心深さの違いからか、月収の半分を寄付すると聞きますし、
より信心深い人の多いシャン州では自身の食費をも切り詰めてまで寄付をするということです。
収入の額は大きく違うのに、国民一人当たりの寄付額がアメリカに次いで2位だということもうなずけます。
また弊社取引先の日系メーカー様から伺った話では、代理店の経営者を本社役員に紹介する自己紹介シートを作成しようとした際に、「趣味:寄付」と書いてきた人がいるという話もあります。


【ミャンマー人は大仏が好き】

旅行会社らしいお話も一つ。
ミャンマー人の方が日本へ旅行に行かれる際に人気なのが、さすが仏教徒、大仏です。
鎌倉はほぼ行程に入りますし、関西方面へ行かれる方は奈良も人気です。
先日ご相談を受けた際には、KAMAKURA、NARA、USHIKU...
USHIKU?
茨城県にある、青銅製立像で世界一の高さを誇るとギネスブックにも登録されている牛久大仏でした。
日本人の間でもそこまでポピュラーな観光地とは言えないところまでご存知で、ぜひとも行きたいとのことでした。
結局行程上茨城県まで行くのが難しく、断念していただきましたが。


【宗教儀式を邪魔すると。。。】
上記のように、ミャンマー人の信心深さは相当なもので、
それが故に、外国人観光客が宗教行為を邪魔して警察に捕まるという事件が発生しました。
中部の都市マンダレーで、夜中に説法を流していたスピーカーのケーブルを引き抜いたとして旅行者のオランダ人が逮捕されました。
罪状は、「宗教侮辱罪」。その後裁判で3カ月の懲役という有罪判決が下されました。
癇癪を起こしての暴力行為は許されませんが、何も壊していない、誰も傷つけていないこの状況での投獄は厳しいのではないでしょうか。
(寝る時に外で爆音を流されていたら、誰でもイライラするとは思いますが。。。)
どれだけ仏教を侮辱することがミャンマー人にとって大きなことかがわかる事例だと思います。
これが行き過ぎてしまったのが、ミャンマー西部でのロヒンギャ(イスラム教徒)問題なのでしょう。
(その他、ブッダのタトゥーをしていた外国人が国外退去になった事例もあります。)


以上、長文になりましたがミャンマーの仏教についての情報でした。
ミャンマーの人々にとって、仏教はなくてはならないものだと言っても過言ではありません。
上記の情報が、ミャンマーへ進出済み、または進出をお考えの企業のみなさまの一助となれば幸いです。


※本サイトに掲載のレポートやコラム及びリンク先などの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、弊社の公式見解をあらわすものではありません。

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