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【ロシアコラム】ロシアの山手線ことモスクワ中央環状線、新規開通!乗車体験レポート

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今回はロシアのインターネットニュースメディア、スプートニク日本の徳山あすか氏によるコラムをお届けします。


9月10日の「建都記念日」にあわせて、モスクワ中央環状線が開業した。従来は貨物用だった鉄道を旅客用にしたものだ。貨物用から旅客用への再建設に要した時間はわずか4年間と、異例のスピード工事だ。中央環状線には全部で31の駅があり、そのうち24駅が今日オープンした。近年稀に見る大型インフラの登場に、街は喜びにわいている。


モスクワ市営地下鉄には既にJR山手線のような環状線があるが、モスクワ中央環状線は、それよりも外側を一周することになるので、第二の輪とも呼ばれている。モスクワ中央環状線は地下鉄ではないものの、地下鉄との一体性と乗り換えの利便性を第一に考えており、乗車カード「トロイカ」も地下鉄と共通で使える。


Column_SputnikOCT2016.jpgモスクワ中央環状線の車両に選ばれたのは「ラスタチカ」(つばめ号)だ。ラスタチカは、モスクワ―サンクトペテルブルグ間を走る超特急「サプサン」(はやぶさ号)と同様、独シーメンス社の車両で、老朽化が目立つ地下鉄とは異なり、WiFiはもちろん、トイレなどの設備も備えている。


開通初日は、カメラやスマートフォンを片手に乗車する人の姿が多く見られた。ラスタチカは窓が大きく作られているので、子どもも大人も車窓の景色を楽しんでおり、モスクワ川が見えると車内から歓声が上がった。今のところ扉は自動開閉式になっていないので、ボタンを押して下車するのに戸惑う人の姿もあった。地下鉄では古い車両になればなるほど騒音が大きく、会話も困難だが、環状線の車内は静かで快適だ。発車時や運行時の振動も少なく、すべるように走っていく。車内には電子モニターがあり、乗り換え情報などを見ることができる。


中央環状線の新駅の一つ、ルジニキ駅で開通記念式典が行われ、プーチン大統領もソビャーニン・モスクワ市長と一緒にルジニキ駅からガガーリン広場駅まで乗車した。大統領も、運行時の静かさがお気に召したようだ。筆者がルジニキ駅で出会ったナタリアさんは、夫と子どもと一緒に環状線の旅を楽しんでいるところだった。ナタリアさんは「環状線はとても便利で素晴らしいですね。遠足みたいな気分です。車窓の景色も新鮮で、今まで見たことのないモスクワの風景を見ることができました。子どもも、新しい電車がとても気に入りましたよ。今は休憩中ですが、この後また乗って、最後まで一周したいと思います」と話してくれた。


また、ルジニキ駅でラスタチカを写真におさめていた年配の男性オレグさんは、「とても嬉しいです。本当に、21世紀に生きているんだなという実感がわきました。モスクワに大きな変化が起きていることを、身をもって感じています。列車は速くて快適で、来る間隔も短いので、仕事に行くのにも便利になります」と喜びを話してくれた。


9月11日からは、モスクワ中央環状線は地下鉄と同様、朝5時30分から深夜1時まで運行する。地下鉄と同様で時刻表はない。ラッシュ時間帯には6分間隔、その他の時間帯には12分間隔で列車がやって来る。乗車料金は一回50ルーブル(トロイカを使えば32ルーブル)だが、最初の一ヶ月は乗車料が無料なので、日本人の皆さんもモスクワ観光のついでに環状線を一周してみてはいかがだろうか。ちなみに、一周に要する時間は75分だ。


筆者プロフィール

徳山あすか

1984年神戸市生まれ。2006年早稲田大学第一文学部卒業、時事通信社に入社。2013年ロシア政府国費留学生に選ばれ、サンクトペテルブルク国立工科大学準備学部にてロシア語を習得。2015年ロシア国営通信社Rossiya Segodnyaに入社し、スプートニク日本の記者となる。2016年モスクワ教育大学文学部ジャーナリズム学科修士課程卒業。

スプートニク日本は、ロシア国営通信社Rossiya Segodnyaに属するインターネットニュースメディアです。ロシアの情報・日露関係のニュースを中心に、日本語でお届けしています。

スプートニク日本 http://jp.sputniknews.com


※本サイトに掲載のレポートやコラム及びリンク先などの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、弊社の公式見解をあらわすものではありません。

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