【マレーシアレポート】マレーシアにおけるムスリムファッションレポート
Pew Research Centerの調査によると世界におけるムスリム人口は2010年には16億人をこえ、2030年には世界人口の26％にあたる22億円になると予想されています。
この巨大な市場において現在日本では「食」・「化粧品」・「医薬品」などを中心としたハラール対応が急速に進められていますが、今回のレポートではインドネシア、マレーシアを中心に熱を帯び始めている「ムスリム・ファッション」に関して取り上げます。
日本でも昨今、訪日旅行者が急増する中、アラビア語で「覆うもの」を意味に被るベール、ヒジャブ（ 英語表記：Hijab）を身に着けたムスリムトラベラーを多々目にするようになりました。ヒジャブは以前は女性への弾圧の象徴として見て捉えられていた時代もありましたが、現在ではヒジャブをオシャレに着こなす女性たちが多く街中に見られます。State of the Global Islamic Economy 2014-2015 ReportによるとCLOTHING & FASHION 市場は２０１３年には２２６億ドル、２０１９年には４８８億ドルのマーケット規模になると予想されています。
「ムスリマファッションの秘訣」に書かれた９つの条件
１：アウラを覆う
※『アウラ』とは男性は臍から両膝頭までで、女性は顔と両手を除く、全身を意味します。
２：ぴたっとせず透けない
３：清潔で美しくTPOに適う
４：健康的で快適
５；自分の尊厳を守る
６：質素だがエレガント
７：メイクやアクセサリーが自然で行き過ぎが無い
８：トレンディかつシャリーアに適う
９：服装が神へのイバーダ(崇拝行為）だということを意図する。
※出典：『インドネシアのムスリムファッション～なぜイスラームの女性たちのヴェールはカラフルになったのか』
著者：野中 葉
イスラム世界で使用されている女性の服装
ヒジャブ：スカーフのような１枚布で頭髪を隠すものである。もっとも一般的な服装である。
ブルカ：アフガニスタンで主に用いられていて、目の部分が網状になっていて完全に顔が隠れる。
ニカーブ：目だけ見せるもので、記事の色は黒が多い。
チャドル：イランに多い服装で顔だけ出して体全体を隠す。
ブルキニ：健康志向を背景に近代になってから登場したムスリマ向けの水着である。イスラム教の戒律に合うように全身を覆うタイプの水着。
最も、一般的なヒジャブでさえも多くの種類とトレンドが存在します。例えば、オーソドックスな正方形から長方形そしてビーズをあしらったものまで様々あり、ムスリムの女性は自身の洋服や用途に合わせてカラーやスタイルを変えて楽しんでいます。
例えば、
１）慌ただしい朝に被るだけで完成するヒジャブ
２）流行に合わせてカジュアルファッションに合わせたヒジャブなど
さらにはムスリム向けのファッションマガジンを発行されており、トレンドからヒジャブのまき方まで写真つきで解説されています。
このため、クアラルンプールにはヒジャブやお祈りマットが購入安価で購入できるJalan Tuanku Abdul Rahman通りのマーケットから大手ショッピングモール内にもムスリム向けのショップを見ることができました。
そして、日本企業も、ムスリムデザイナーとのコラボレーションすることで新たなムスリム向けファッションスタイルを市場に提案している様子が見受けられます。その店舗づくりにおいても、入口付近の広告やディスプレイをムスリムショッパー向けにアレンジするなどムスリムマーケットへの期待を感じることができます。
さらには、商品品質においても蒸し暑いマレーシアの気候に合わせて汗をすぐに乾かす素材を採用したヒジャブのインナーがムスリム向けに販売されていました。機能性を重視した商品展開は新たなJapan Qualityとして注目を浴びています。
今回の出張を通して、日本のファッションスタイルや繊維技術がムスリム市場へ入っていける大きなポテンシャルを感じました。
ラピタでは、イスラミックツーリズム先進国・マレーシアにて2016年3月に開催されるマレーシア最大規模の国際旅行フェア MATTA FAIR 2016を通じて、他国の動向やトレンドを学ぶとともに世界に広がるムスリムトラベラーの受入環境整備について学ぶツアーを企画いたしました。
詳細は下記のリンク先にてご確認ください。