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【ブラジルレポート】ブラジルのお茶のマーケットの現状

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(写真:ブラジルのお茶販売店 A loja do chá)

株式会社JTBコーポレートセールス
第五事業部 LAPITA推進マネージャー 市川 恒

1908年に始まった移民の歴史から、現在でも150万人の日系人社会を持つブラジルは、他のBRICs諸国と比較して親日感情の強い国です。LAPITAでは、「ブラジルビジネス情報センター(BRABIC)」を核として、ジャパンコミュニティや日系人、現地コンサルティング会社と連携をとりながら、日系企業の進出を図っています。

ブラジル市場への進出は、中国・アジア諸国と異なり、輸入関税・国内輸送コストの高さなど様々なカントリーリスクがあります。そのリスクを軽減するため、LAPITAではブラジルへの輸出ソリューションや、進出の足がかりとなるテストマーケティングや自社製品の訴求に活用されているのが展示会出展のサポートを提供しております。ブラジルにおける展示会・見本市は、その場で商談に進展する傾向が高く、年間売上の30~50%を記録することもあるといわれ、大企業だけでなく中小企業も利用するケースが増えています。

LAPITAではラテンアメリカ最大の食の見本市 Equipotel&Alimentaria(期間2014年9月15日-18日、出展社850、ビジター60,000人)に日本茶普及及びマッチングのブースを出展する予定です。

今回はブラジルでのお茶マーケットの現状についてレポートいたします。


<歴史>

ブラジルにおける紅茶生産は、184年ごろ、リオデジャネイロ州のllha do Governadorで、現在のリオデジャネイロ国際空港がある辺りで始まった。ポルトガルのD.ジョアン皇太子によって持ち込まれた紅茶は、マカオ植民地の百名の中国人農家によって栽培が始められた。ここで生産された紅茶は、サンプルとしてロンドンに持っていかれた。House of Indiaで試飲され、最高品質と評された。それにもかかわらず、英国政府の規制によりブラジルからの輸出は禁止されてしまう。そして、中国人農家たちが都会へと逃げてしまい同時に生産技術も失われた。1919年に茶の専門知識を持った日本人の岡本寅蔵と日本人農家たちの手によって、紅茶栽培はサンパウロ近くのレジストロ市で再生された。岡本氏はレジストロ地区は茶ノ木(緑茶)の栽培に適していることに気づいた。

後に、レジストロ市は紅茶・緑茶ともにブラジルの茶生産のトップになった。紅茶や緑茶のほかにも、ブラジル南部の州のリオグランデ・ド・スル州やサンタカタリーナ州で栽培されたイェルバ・マテを使用した「チャ・マテ(マテ茶)」の最大の生産地域となった。第一次世界大戦中には、輸入が困難になり、レジストロでの生産を加速させた。当時は中小規模の茶工場がレジストロ市周辺に42箇所もあった。ピーク時には、国内生産のおよそ99%に当たる、年間12,000トンもの茶をレジストロ地域で生産しており、そのほとんどが国内用というよりは、輸出用だった。最近では割高なブラジル・レアルの影響でレジストロ地域の茶生産が消滅しかけたが、現在は2つの限られた生産者によって生産されている。


<マーケット>

調査によると、2009年から2013年にかけての茶の消費量は毎年平均16%増加している。現在では毎年3000トンもの茶葉が消費されている。売上げ及び販売量は増加傾向であり、販売は世界平均の12%UP、価格は25%UPである。

その一方で、一人当たりの茶の消費量は年間たったの8.5杯で、52か国の中で最下位に当たる。
これを打開するために、茶葉を販売する国内メーカーや海外メーカーが行ったのが、ティーカップの無料配布やスーパーマーケットなどでの茶の試飲だった。

小売店で販売されている茶葉はいわゆる「ベーシック」な味のもので、紅茶、ペパーミント、ハッカそしてフルーツテーストが大半を占めている。

主な輸入者や卸売業者は7つあるが、大きい業者の中でCoca-Cola Beveragは最も人気のあるブランドLeao Jrを1カップ用に小分けにして販売をした。最近ではGreen and White Tea が2012年から2013年にかけて売り上げが32%も伸びていることで注目を浴びている。

専門的かつ洗練された茶市場では、規模は小さいが専門的なセレクトティーハウスが最近増えてきている。サンパウロ州には8つのセレクトティーハウスが3年間の間にオープンしている。
これらのセレクトティーハウスは、特定のブレンドティーを大量に輸入し、パッケージしたものを小売業者に販売しており、セールス箇所は今や300にも及ぶ。


<マーケット・ビジョン>

現在のブラジルの茶市場は、急速に拡大しており、過去5年間で毎年平均10%も消費率が上がっている。成長率が世界平均よりも高いのは、新しい商品やサービスに関心が高い中間層の増加にある。
このブームは食品業界の他のセグメントにおいても見られ、またブラジル・レアルの米ドルやユーロに対する価値の向上にも関連している。

他のセグメントと異なるのは、茶は実質上、ブラジル産のものと価格競合する輸入品が市場の大半を占めているところだ。

中国やインドで生産され、アメリカやヨーロッパから輸出されるプレミアムティーの大半は、大量輸入され、国内でパッケージ化されて販売される。

プレミアムティー市場のもうひとつの特徴が、ほとんどの輸入車が独自の輸入ルート、パッケージング工場及び販売チャンネルを持っており、再販売されることは非常に少ない。商品は基本的に輸入者の関連POPで販売される。
高騰しがちだったブラジル・レアルは徐々に安定してきており、1米ドルあたり2.40~2.80レアルである。しかし、為替レート以上に、車や家屋購入のための長期ローンによるブラジル人口の負債額を考えると、現在の消費レベルは維持できそうにない。

これらの兆候はいくつかの分野において顕著である。たとえばイースターに販売されるチョコレートに見られるように、過去2年間ブームであったが、2013年には平均で20%の値引きを行っている。


<終わりに>

茶葉への関心の高まりで、いわゆる「プレミアムティー」のビジネス需要が拡大した。過去3年間で首都圏に「プレミアムティー」のみを扱う数店舗がオープンした。

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(写真:the gourmet tea)

Gourmet Tea Companyは2010年に市場参入し、インフュージョンティーを販売している。Daniel NeumanやLeandro ToledanoのオーナーはGourmet teaの隙間を埋めるべく、32カ国の60のサプライヤーからハーブを購入し、米国の工場でブレンドしたものを大量にブラジルに輸入したのちに梱包し、卸売業者に販売している。ブラジルではこのような商品は生産できないとうのが一般な共通認識である。その主な理由は投資を正当化するだけの消費者マーケットがないからだ。起業家たちはローカルの商品よりも、サンパウロ市内にぞくぞくと店舗を開業した。近年まではブラジルの消費者たちはティーバッグしか知らなかったが、最近では茶葉にも関心を持ち始めている。

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(写真:TEA CONNECTION)

調査会社によると、国内消費者は様々な味のコンビネーションを楽しみたいと思っていることが分かった。世界的に見ると、モロッコのグリーンミントティー(緑茶とミントの組み合わせ)は40%ミント60%緑茶で作られている。一方でブラジルマーケットでは70%ミント30%緑茶で受け入れられている。それでも、ブラジルの茶葉市場は初期段階のため、キープレーヤーたちの主導で味や飲み方は常に進化していかなければならない。また、Tea Connectionというアルゼンチンの会社が2011年に始業したが、これは唯一国外に本社を持つ会社だ。

ブラジルの茶葉市場開拓に力を入れているのが、英国政府に支援されているTwiningsだ。これまでのところ、伝統的なTwiningsでさえ、ブラジル市場向けの特別バージョンを開発しなければならなかった。伝統的なアールグレイやアッサムよりも、カモミール、バニラハニー、レモンミントなど、ブラジル市場で人気のあるフレーバーだ。プレミアムティーの歴史はまだ短く、比較的安価なI.I輸入税やIPI物品税が0のため、新規参入もしやすい。ブラジルの茶葉市場は新規参入のチャンスがまだまだあるが、製品やブランドイメージにインパクトをつけるためには綿密な戦略立てが必要だ。

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(写真:ブラジルのお茶販売店 talchá)


<お知らせ>

ブラジルワールドカップが終了したブラジル最大都市サンパウロで開催されるラテンアメリカ最大Equipotel&Alimentaria(期間2014年9月15日-18日、出展社850、ビジター60,000人)に日本茶普及及びマッチングのブースを出展する予定です。

Equipotel + Alimentaria 

世界最大日系コミュニティー150万人のお久元のサンパウロにて、健康に関心がある富裕層にアプローチしてみませんか?お茶製造元皆様の海外進出商流構築をサポートします。

詳細は後日発表。問い合わせはLapitaデスクまで

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