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【ロシアレポート】モスクワで地酒販売!! ロシアにおけるテストマーケティング最新情報

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(画像:変わりゆくモスクワ市)

株式会社JTBコーポレートセールス
第五事業部 エグゼクティブ(グローバル推進担当) 大谷光昭

株式会社JTBコーポレートセールスでは、日本企業のグローバル推進をサポートする事業として、経済成長を遂げているロシア連邦モスクワで、ビジネスマッチングを主とする「JAPAN EXPO IN RUSSIA」を主催実施しております。
2012年の秋、モスクワで日本人シェフのいる日本食レストランの「良いお酒を店舗で提供したい」というニーズと「しかし良いお酒を仕入れることができない」という課題をお聞きしました。そこで、モスクワにおける本格的な日本酒商流をもたらすための輸出促進支援事業を、2013年2月より開始しております。

日本食ブームに沸く、ロシアの食市場

モスクワ市の平均月収は年々増加しており、2012年時点で月収145,140円を記録しました。
それに伴って、少し高い価格でも良い食品を求める消費者が増えています。また持ち家比率が高く、可処分所得の支出内訳では、食費の支出が圧倒しています。
ロシア人の多くは親日で日本の文化に対して強い興味を持っており、モスクワ市内で日本食をサービスしている店舗は650店を超えるとも言われるほど、日本食ブームが巻き起こっています。しかし、9割が『ロシア的』日本食であり、正しい日本食文化が根付いているという訳ではありません。
それでも日本食ブームの波は、モスクワから地方都市へと波及し、拡大し続けています。

世界でも屈指の日本酒輸出が難しいモスクワへ、國酒の本格輸出が始まった!!

WHOの調査では、ロシア、東ヨーロッパの飲酒量が世界でずば抜けて高い。成人1人当たりの全体アルコール消費量が最も多いのはモルドバで、モルドバの成人は年間18.22リットルのアルコールを飲みます。続いて、チェコ(16.45)、ハンガリー(16.27)、ロシア(15.76)の順です。
一般にロシアのアルコール飲料の市場は保守的であり、伝統的なビール、ウォッカ、ワイン、コニャックがソ連時代より固定しているために、新しい種類を容易に受け入れ難い環境にあります。そうした中で日本酒はまだ市場の認知度が低く、潜在客層の意識のバリアを崩す必要があります。

またロシアは、通関や各種登録が面倒で流通制度も複雑、世界の中でも酒輸出は「トップ級の難しさ」で、一部大手などの酒が出回る程度です。

14社28銘柄の適合証明書を取得し、地酒の正規輸出へ

日本酒に対する需要は高まっているものの、流通においてはリーマンショック以降の円高や輸入障壁の高さなどで多くの酒造メーカーが輸出しにくい状況にありました。ロシアで日本酒の販路創出・拡大を図るためには、ロシアのマーケットの特性や流通状況に合った物流の改善、販路開拓の仕掛けをつくる必要があります。
そこで私どもは、モスクワの日本食レストランのシェフたちを中心に購買会を組織化し、日本酒のオーダーを整理することとしました。

次にインポーターの選定と輸出ロジスティックスについてですが、中国産の酒流通などの影響により、1年に4回ほど輸出をしていた某アルコールメーカーの輸出コンテナのスペースにゆとりが発生、そこに今回の地酒を混載することで、効率的な輸出ロジスティックスを実現しました。バイヤー側の希望にある「小ロットで数多くの銘柄数」に対応した新しい輸出の仕組みです。
エキスポーターから輸出ロジスティックス、インポーター、バイヤーまでの全ての体制を整備して、新しい輸出促進支援事業を推進しています。

2013年8月下旬に第一回目のオーダーリスト2196本を確定し、参画酒造メーカー14社28銘柄の國酒の適合証明書を取得。10月12日に神戸港からリガ港へ向け、商品を輸出しました。

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(画像左:PIR2013・ロシア人に向けた日本酒プロモーション、画像右:PIR2013・30銘柄以上の地酒 ※宮城県・福島県・神奈川県・新潟県・石川県・福井県・愛知県・京都府・兵庫県・広島県・宮崎県産)

シェリー酒のような甘~い日本酒を好む~ロシア人の嗜好性

2013年10月モスクワで開催された食の見本市「PIR 2013」にて、日本酒のプロモーションを実施。試飲紹介したのは30銘柄以上です。これほどの種類の地酒が一度に並ぶことは、モスクワでは非常に珍しいことです。

そして試飲のカテゴリーをPREMIUM STANDARD、DRY、SWEET、焼酎の4つに大別して、ロシア人の嗜好を調査しました。
結果は、低アルコールのSWEET。ダントツの人気です。
強いウォッカを飲んでいるイメージがありますが、梅酒も根強い人気があり、甘口の低アルコール商品も好まれています。

日本酒は「キャビアにも合う」、そして「温めてもおいしい」。
ロシアは、キャビアが有名です。このキャビアを美味しくいただくには、実は日本酒が合うのです。
白ワインは、含まれている有機酸がキャビアの風味を悪くします。日本酒は、キャビア独特の脂っぽさをさらりとさせ、生臭ささえも絶妙に消してくれます。
そして日本酒は温めてもおいしい酒です。極寒の土地に暮らすロシア人にとって日本酒は、良いことが多いようです。

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(画像:ロシア人インポーターによる日本酒の説明)

2014年2月よりモスクワにて、遂に地酒販売開始!!

モスクワの日本食レストランで、輸出支援した地酒が遂に販売されました。焼酎の反応も良いようです。株式会社JTBコーポレートセールスでは、このモスクワでの國酒商流構築を基盤に、周辺都市・周辺国、そして他の地域へ展開を広げていきます。
進出における様々な障壁を乗り越えて、ジャパンブランドを世界へ繋ぐ新しいビジネスモデルに取り組んでいきます。

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